発達障がいのお子さんが不登校になったら?家での過ごし方や接し方をご紹介します。

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目次

発達障がいのお子さんが学校に行けなくなったら

日本財団の「不登校傾向にある子どもの実態調査報告書」によると、不登校または不登校傾向にあるお子さんの保護者の回答に「心身・発達上に障害があると診断されている」と回答する保護者も少なくない傾向があります。

「どうしてウチの子が…」「このまま学校に行けなかったら不安」という保護者の方々の心配も大きいかとは思いますが、まずはお子さんの状況をしっかりと理解し、適切な対応をすることが重要です。

発達障害についての知識を理解し対応方法を知っておくことは、今後のお子さんとの接し方を考えることや保護者の方の精神的な心配を和らげるという意味でも役に立ちます。

今回は特に事例の多い発達障害の特性・傾向から接し方を紹介し、過ごし方や生活について考えていきます。

まずは「発達障がい」を知る

発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
(参考)厚生労働省|発達障害の理解のために

発達障がいには色々な特性・傾向がありますが「〇〇という傾向があるから、発達障がいだ!」ということではなく、お子さんがどんな特性を持っていて、そのサポートやケアのためにどんなアプローチが有効なのかを理解することが大切です。

不登校の子に多い発達障がい①ASD:自閉スペクトラム症

まず、ASD(自閉スペクトラム症)について紹介します。ASDの傾向として下記のような特性が挙げられます。

・目で見る情報の方が理解がしやすい
・混乱をしてしまう表現を使ったり、文字通りに受け取ってしまいやすい
・相手の気持ちが読み取りにくい
・部分にとらわれて全体として総合的に考えることが苦手
・予期しない変化はとても苦手
・漠然とした空間、時間の把握が苦手
・金銭感覚が大雑把/異常に厳しい
・自分の気持ちの調整が難しい
・将来のことがイメージしにくい
・決断しにくい(オープンな質問が苦手)
・順序立てて物事を進めるのが苦手
・一度に複数のことを行うのが苦手

ASDの傾向が見られるお子さんへのアプローチ

まずは、本人が自宅で落ち着いて生活できる環境をつくりましょう。ものがたくさんある場所や音がたくさん聞こえるような環境では絶えず刺激を受けてしまいます。静かなスペースを用意したり、壁や机の上がスッキリとしている、物が置かれている場所にはカーテンをつけるなどして気が散らないような環境をつくりましょう。

また、自閉スペクトラム症の子どもは「いつから」「いつまで」「どこで」「なにを」「どのように」するのかの見通しが立たないことに不安を感じやすいようです。情報を写真、イラスト、文字、色分けなどを使って「見える化」することで理解を助けて混乱を防ぎ、子どもが落ち着いて生活や学習に取り組めるようになります。

家庭での環境が整ったら、人との関わり方を教えたり、自分の気持ちの表現の仕方を教えることを家族間で実践していきましょう。「今日はどんなことをして過ごした?」「予定通りできてどんな気持ち?」など、普段の生活に関することについての会話を増やし、コミュニケーションの幅を広げていきましょう。

不登校の子に多い発達障害②ADHD:注意欠如・多動症

次は、ADHD(注意欠如・多動症)について紹介します。ADHDの傾向として下記のような特性が挙げられます。

・注意の持続ができない
・うわの空でぼんやりしてしまう
・1つずつのプログラムがきちんと終わらない
・忘れもの、無くしものが多い
・授業中でも立ち歩く
・手足をそわそわ動かす
・しゃべり続けてしまう
・相手の応答を待たずにしゃべる
・順番を待つ、我慢することが苦手
・思ったらすぐ行動に移してしまう

ADHDの傾向が見られるお子さんへのアプローチ

ADHDのお子さんと同様に落ち着いた環境づくりは重要です。自宅では自分のペースで生活ができるように環境を整えましょう。また、ADHDの特性上、私生活の中で叱られたり、注意を受けやすい傾向にあります。できないことよりも、できたことや頑張っているところに目を向けて、意識的に褒め、認めてあげる機会をつくりましょう。

成功体験を積むことで、自信がついてやる気に繋がります。辛抱強く、愛情を示しながら、得意なものにチャレンジできる環境をつくり、得意なことやできることを少しずつ増やせるようサポートしていきましょう。

不登校の子に多い発達障害③LD:学習障害

続いて、LD(学習障害)について紹介します。LDの傾向として下記のような特性が挙げられます。

・ことばの遅れが気になる。
・勉強についていけない。
・集中力、落ち着きがない。
・他者との関わりが苦手。
・計算や数論が極端に苦手。

LDの傾向が見られるお子さんへのアプローチ

LDの傾向があるのか、学習が進んでいないのが原因でできていないのか?判断がつきにくく対処しづらいことがあります。早く気づいてあげることが理想的ですが、どちらにしても保護者の方の対応は一貫して、子どもの行動を否定せず、根気強くサポートしていく姿勢が重要です。また、学習方法や教材についてもお子さんにあったものを取り入れ、お子さんの意見を聞きながら試行錯誤していきましょう。無理に学校の進度に合わせず、自分のペースで勉強ができるようにサポートしてあげてください。

学校に行けないお子さんの気持ちと解決のための過ごし方

不登校のお子さんは、実は学校へ行きたいと思っていることが多いです。学校を休む罪悪感や不登校でいる自分に嫌悪感を抱き、そのことが大きなストレスになっていることもあります。また、授業に出席していないことで遅れてしまった勉強を取り返せるかどうか不安に思うケースもあります。

本人はその状況を深刻にとらえているので、傷つきやすく疲れやすい状態になっています。

お子さんの特性や気持ちに寄り添った過ごし方を接し方を考える

ここまで紹介した内容を踏まえ、お子さんが安心して生活できるよう、それぞれの特性に応じた接し方を心がけましょう。

お子さんはとても繊細なので、学校に行けないお子さんにはしっかりとケアをしてあげることが不可欠です。学校に通うことで得られるものはたくさんあるかと思いますが、急がないようにしましょう。

だんだんと学校以外の学びの場や活動の場も増えてきています。お子さんのやりたいことや過ごしやすい場所を話し合いながら、フリースクールなどの居場所を検討するのもいいでしょう。

学校に行けない間の過ごし方で気をつけたいこと

発達障がいの有無に限らず、学校に行けなくなったお子さんは、一時的に不登校の状態になっています。心のケガをしているような状態です。

後ろ向きにならず、やりたいことを見つけ前向きに過ごせるように、3つのことを気をつけて過ごし方を見守りましょう。

①何かやりたいことを一緒に探してあげる

家で何もやることがなく、時間を持て余していると、お子さんの心理状態は不健康になっていきます。「学校に行けてない自分」をネガティブにとらえ、どんどん深刻になってしまうかもしれません。

そうならないように、お子さんが普段やりたいことをしながら楽しく過ごせるように、一緒にやりたいことを探してあげましょう。お子さんがやりたいことが分からない場合は「ちょっとこれ手伝って」や「こういうの一緒にやりたいんだけど、どうかな?」など誘ってみて、お子さんの反応を見ながら探していきましょう。

②コミュニケーションをたくさんとる

何度も言うように、お子さんは学校に行けてない自分を不安に感じているものです。好きなことに取り組んだり、前向きに過ごせるようになるには、お子さんの自己肯定感を醸成してあげる必要があります。

お子さんの自己肯定感を醸成するためには、保護者からの承認が大切です。ちょっとしたことでも「ありがとう」「すごいね」と存在を承認してもらえると、自分に自信が持てるようになってきます。
自分はここに存在していいんだ、好きなことにチャレンジしていいんだ、とお子さんが前向きに過ごせるように、保護者はサポートをしてあげましょう。

③保護者が自分を大切にすること

どうしてもお子さんが学校に行けない状態になると、保護者は悩んだり自分を責めてしまうものです。ただ、先ほども言ったように不登校は一時的に心をケガしている状態です。心配しすぎず、のびのび好きなことをさせてあげよう!くらいの心持ちの方が、お子さんにとってもプラスに働くことがあります。

特に発達障がいの特性を持つお子さんは、時に周囲から理解をされなかったり、誤解されてしまうこともあるでしょう。そのことで自分の親まで悩ませてしまっていると感じると、より後ろ向きな気持ちが大きくなってしまいます。

お子さんが前向きになるためには、まず保護者が前向きに。保護者自身も自分の気持ちを大切にしながら、穏やかに過ごせるように好きなことや息抜きをするなどしましょう。

【まとめ】その子の特性に合わせた過ごし方を心がける

この記事で取り上げた内容はあくまで一例です。各々のご家庭によってお子さんの性格や特性も様々ですし、生活環境も異なっているでしょう。

「この過ごし方が正解」というものを探すよりも、ここで紹介したような過ごし方を試しながら、お子さんに合わせた過ごし方を模索していくことが大切です。

その際には積極的に学校との連携を意識したり、支援機関への相談をしましょう。

ツナグバは専門の臨床心理士の監修のもと、皆様のお悩みを相談できるQ&A機能があります。専門家の意見を聞いたり、同じ悩みを持つ人と交流することで、気持ちが軽くなるかもしれません。

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出典一覧

日本財団|不登校傾向にある子どもの実態調査報告書
厚生労働省|発達障害の理解のために

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