大学生も不登校になる!その原因とは?理由や対処法などを解説します

不登校といえば、小・中・高校生における課題と捉えられがちですが、実は大学生においても不登校が問題になってきています。 大学生になると、親元を離れて一人暮らしをすることになったり、自由度の高い時間割になったりと、高校までとは大きく環境が変化します。そういった変化の中で知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまい、不登校の状態になることがあります。 不登校が続くと、学業や就職活動に悪影響が出てしまう可能性があるため、早めに対処することが大切です。 この記事では、大学生が不登校になってしまう理由や対処法など幅広く解説していきます。

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監修:ツナグバ運営局

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目次

不登校といえば、小・中・高校生における課題と捉えられがちですが、実は大学生においても不登校が問題になってきています。

文部科学省の資料によると、ある国立大学の調査では、大学における不登校学生は全学生の1〜2%存在すると推計されているとのことでした。

(*出典1)文部科学省|大学における学生生活の充実方策について (報告) -学生の立場に立った大学づくりを目指して-

大学生になると、親元を離れて一人暮らしをすることになったり、自由度の高い時間割になったりと、高校までとは大きく環境が変化します。そういった変化の中で知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまい、不登校の状態になることがあります。

不登校が続くと、学業や就職活動に悪影響が出てしまう可能性があるため、早めに対処することが大切です。

今回は、大学生が不登校になってしまう理由や対処法など幅広く解説していきます。

大学生も不登校になる?

不登校と聞いて、大学生のイメージが沸く人は少ないかと思います。大学生の不登校とはどのようなものなのでしょうか。

全国の大学生の1~2%程度が不登校

まず、不登校とはどういう状態のことなのかについて確認しておきましょう。

不登校とは、一般に「何らかの事情により学校に行くことができない状態」を言います。

しかし、大学生の場合、義務教育である小・中学生とは異なり、毎日の登校が必須ではありません。そのため、大学生の不登校は「大学生が長期にわたり出席すべき授業に出ない現象」であると定義されます。

(*出典2)広島大学心理的研究|不登校大学生に対する大学教員の視点と支援

文部科学省の資料によれば、ある国立大学の調査によって、大学における不登校学生は全学生の1〜2%存在すると推計されているとのことです。

(*出典1)文部科学省|大学における学生生活の充実方策について (報告) -学生の立場に立った大学づくりを目指して-

また、多くの大学では「単位取得に必要な出席数が定められている」ことにも留意しなければなりません。授業やゼミなどを一定以上欠席してしまうと、単位が取得できず、留年や退学となる場合もあります。

たとえば、岡山県立大学では、単位認定の要件に「授業への出席が授業実施時間数の3分の2以上」であることが含まれています。

参考:岡山県立大学|学修の評価・卒業認定基準等

したがって、大学生の不登校は、早めに対応することが大切です。

大学生が不登校になる7つの理由

ここからは、大学生が不登校になる理由について見ていきましょう。

前提として、不登校を引き起こす原因が必ずしもひとつであるとは限らず、これらの要素が複数重なって学校にいけなくなることがあります。

(*出典3)不登校の現状に関する認識 文部科学省 

不登校の要因は、いくつかのタイプに分類され、それぞれ対応についても変わることがあります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
日本の不登校の現状は?不登校7つのタイプの原因・解決方法も解説

その上で、大学生が不登校になる理由としては、以下の表にあるような理由が考えられます。

(*出典3)大学生の不登校に関する基礎的研究(1)1ー大学生の不登校と退学希望の理由の探索ー

この表にある理由を大きく分類すると「大学生活への不満」「無力感」「他にやりたいことがある」の3つになります。

(*出典3)大学生の不登校に関する基礎的研究(1)1ー大学生の不登校と退学希望の理由の探索ー

「大学生活への不満」「無力感」「他にやりたいことがある」の3つの理由に加えて、

  • 将来への不安
  • 生活の変化
  • 経済的な問題
  • オンライン授業

といったことも大学生が不登校になる理由として考えられます。

ここからは、大学生が不登校になる5つの理由についてご紹介します。

【理由①】大学生活への不満

大学や学部についてよく調べ、とても悩んで選んだとしても、大学入学後に「想像と違った」と感じることはよくあります。

大学や学部が自分に合わないと感じると、授業に出るのがしんどくなったり、勉強についていけなくなってしまったり、ということも起こりえるでしょう。

また、勉強面だけでなく、先生や友人との関係がうまくいかず、不登校になってしまうケースもあります。

大学では、高校までとは異なり、担任の先生がいなかったり、クラスがあっても形式だけだったりします。

また、時間割も一人ひとり違うため、高校までと同じように常に同じメンバーが教室にいるということはなく、自分から行動しなければ友達ができにくいでしょう。

自由なことが増える一方で、自発的に行動することも必要になるため、そこにうまくついて行けない人も出てくるかもしれません。

このように、授業内容が自分のやりたいことと一致しなかったり、人間関係がうまくいっていない場合、授業に対するモチベーションが下がってしまい、不登校になってしまう可能性があります。

【理由②】現在や将来への不安

大学生活は、高校までとは大きく環境が変化し、新しい環境に適応することが求められるため、ストレスや不安を感じることがあります。

特に、高校までとは異なる学習環境や新しい人間関係に対して不安感を感じる可能性があります。

また、就職活動が始まるのに将来がイメージできず不安になったり、就職活動がうまくいかず落ち込んで、3年生や4年生が不登校になるケースもあります。

こういった不安や自信の喪失から、大学生活や大学での勉強に対して無気力になってしまい、不登校になってしまう場合もあります。

特に、変化が激しい現代では、就職に対して不安を抱く学生は増えています。

株式会社学情が2023年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に実施したアンケートでは、約8割の学生が「就職活動に不安がある」と回答したそうです。

(*出典4)就職活動に不安を感じている学生が約8割。「最終面接のみ対面で、上手く話せなかった」など、リアル面接に不安の声/2023年卒対象アンケート

就職活動が理由での不登校は、高校までとは違う、大学生ならではの問題と言えます。

【理由③】他にやりたいことができた

大学での勉強以外にやりたいことを見つけて、不登校になるケースも考えられます。

大学生は、自分自身を見つめ直し、将来の方向性を模索する時期です。自分の将来について考える中で、自分の興味に合うことが新たに見つかる場合もあります。具体的には、起業やインターンシップ、ボランティア活動などが挙げられます。

自分の興味がある分野に取り組みたいという思いが強くなると、大学の授業や課題に時間を費やすことが苦痛に感じられるようになってしまうこともあります。

このように、自分のやりたいことを見つけることで、現在の大学生活に疑問を持つようになり、不登校になることもあります。

【理由④】生活の変化

大学生になると、親元を離れて一人暮らしをする学生も多いです。全国大学生活協同組合連合会が2022年に行った調査では、50.6%の学生が「自宅外生である」と回答しました。

(*出典5)全国大学生活協同組合連合会|第58回学生生活実態調査 概要報告

一人暮らしや寮生活をする場合、生活環境の変化に慣れることが必要です。

また、アルバイトをしたりサークル活動をしたりと自由な時間が増える一方で、生活リズムが崩れてしまうこともあります。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、オンライン授業が増えたことも、生活の変化として挙げられます。

オンライン授業で、教員や学生同士のコミュニケーションが難しくなり、勉強に対する意欲を失ってしまいやすいです。

このような生活の変化が理由で、体調を崩してしまったり、授業に行く気力が無くなってしまうこともあります。

【理由⑤】経済的な問題

経済的な問題が理由で不登校になる場合もあります。大学生にとって、学費や生活費などの負担は非常に大きいです。

中には、家庭の事情で親からの仕送りがもらえず、昼夜逆転で夜勤のバイトをしたり、生活費を工面しているケースもあります。

このように、学費や生活費の支払いが困難であったり、借金を抱えていたりする場合、学業に専念することが難しくなり、不登校につながることがあります。

不登校の大学生に出来る対処法

大学は義務教育ではないため、授業やゼミなどの欠席が続くと、単位が足りず留年してしまう可能性があります。また、不登校が長期化すると、在学年限を越えてしまい、強制退学となってしまうケースもあります。

たとえば、青山学院大学法学部であれば「2 年次終了時に50単位(卒業要件単位)以上修得しなければ 3 年次に進級できない」「在学できる期間は、休学期間を除き 8 年」といった進級に必要な単位数や在学年限に関する規則があります。

参考:青山学院大学|2023年度 授業要覧 法学部 履修ガイド

そのため、大学生が不登校になった場合、できるだけ早めに対応する必要があります。

ここでは、大学生の不登校への対処法をご紹介します。

【対処法①】不安・悩みを特定する

不安を解消するために、まずは、何が不安なのか、何に悩んでいるかを知ることから始めるのがおすすめです。

頭の中で考えているだけだと不安や悩みがはっきりしないので、紙に書き出してみましょう。

「大学に行きたくない!」や「将来どうすればいいかわかんない!」など、頭の中に思い浮かんだことを取捨選択せずにどんどん紙に書き出してみましょう。

書き出すだけでも心がスッキリしますし、書いている中で思考が進み、自分が本当は何に悩んでいるか気づけるケースもあります。

【対処法②】信頼できる周りの人に相談する

大学生は、新しい環境での生活や勉強に対するプレッシャー、人間関係など、様々な悩みを抱えることがあります。

しかし、一人で悩んでいても解決できないこともあります。そんなときは、家族や友人、大学のカウンセリングルームなど、信頼できる相手に相談してみましょう。
話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になることもあります。

また、専門のカウンセラーの人からアドバイスをもらうことで、不登校解決のための具体的な方法を知ることもできます。

【対処法③】将来役に立つスキルや知識を身につける

将来やお金に対する不安が大きい場合は、将来役に立つスキルを学んだり、資格を取るために勉強するのがおすすめです。

例えば、以下のようなスキルがあります。

  • Webライティング
  • プログラミング
  • デザイン制作
  • 動画編集

こうしたスキルがあれば、クラウドソーシングサービスなどを使って自分の力でお金を稼ぐことができます。

クラウドソーシングサービスとは、企業や個人事業主がインターネット上で不特定多数の人に業務を発注するサービスのことです。

また、「基本情報技術者」、「簿記」といった資格も、インターネット上で仕事を得る際や、就活の際に役立つことがあります。

特に大学生が仕事する場合、アピールのための業務経験に乏しいことが多いので、スキルや知識の証明として資格があると有利です。

【対処法④】休学する

不登校になってしまった場合、一番大切なことは無理をせず、休むことです。

体調不良や精神的な疲れがたまっている場合は、無理に学校に通うことはかえって悪影響を与えます。自分自身のペースで回復してから、再び大学生活に戻ることを目指しましょう。
また、十分な睡眠や食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることも大切です。

そして大学によっては「休学制度」の活用が可能です。
休学を申請することで1年間などまとまった休みをとることができます。

また、その期間は在学とカウントされない大学もあるようです。自分の心身を休めたり、好きなことをしてリフレッシュしたりするなど時間を活用できるでしょう。

【対処法⑤】学外活動を始める

大学生活だけでなく、学外での活動に参加することも不登校の解消につながることがあります。

例えば、趣味のサークルやボランティア活動など、興味のある活動に参加してみましょう。
学外での活動は、大学生活とは異なる刺激を与えてくれるため、気分をリフレッシュさせることができます。

また、新しいコミュニティで新たな人間関係を構築することで、コミュニケーションスキルに対する自信をつけられれば、学校にも行きやすくなるでしょう。

不登校の大学生に対して保護者ができることとは

大学生のお子さんが不登校になってしまい、どう接するべきか悩んでいる保護者もいるでしょう。

ここでは、不登校のお子さんに対してどうすればいいか、解説します。

基本的には本人の意思を尊重しよう

前述のように、大学生が不登校になる理由は多岐に渡ります。内容によっては「打ち明けてもどうせ理解してもらえない」という思いから、なかなか本人から話してくれない場合もあるでしょう。

保護者としては、なんとか大学を卒業して欲しいという思いがあるかと思います。
しかし、大学生であれば基本的に成人しているので、本人の意思を尊重するべきでしょう。

また、大学は登校が必須ではないため、高校生までに比べて、本人が取れる選択肢の幅は広いと言えます。お子さんの話にしっかりと耳を傾け、お子さんが最良と思える選択肢を探すことが大切です。

注意しておきたいのは、就職活動や人間関係を苦にしているケースもあるということです。
そういった場合、お子さんの話をよく聞いて、共感し、気持ちに寄り添ってあげることが必要になります。

お子さんが親元を離れて一人暮らしをしている場合でも、定期的にコミュニケーションを取り、心の拠りどころになってあげましょう。

【まとめ】

今回は、大学生の不登校について解説しました。

  • 大学生が不登校になる理由は、人間関係や将来への不安、環境の変化、経済的な問題などさまざま
  • 大学での不登校が長期化すると留年や退学につながることも多いため、早めの対応が大切。

人間関係の悩みや将来への不安など、さまざまな理由が合わさって不登校を引き起こします。何らかの事情で大学に通学することが難しくなってしまった場合には、無理に学校への復帰を目指すのではなく、しっかりと休むことが大切です。

一人では解決できない悩みもあるので、状況に応じて、家族や友人、大学のカウンセラーなどの信頼できる人に相談してみましょう。

【出典一覧】

(*出典1)文部科学省|大学における学生生活の充実方策について (報告) -学生の立場に立った大学づくりを目指して-
参考箇所:大学生も不登校になる?

(*出典2)広島大学心理的研究|不登校大学生に対する大学教員の視点と支援
参考箇所:大学生も不登校になる?

(*出典3)不登校の現状に関する認識 文部科学省 
参考箇所:大学生が不登校になる5つの理由

(*出典4)株式会社学情|就職活動に不安を感じている学生が約8割。「最終面接のみ対面で、上手く話せなかった」など、リアル面接に不安の声/2023年卒対象アンケート
参考箇所:大学生が不登校になる5つの理由

(*出典5)全国大学生活協同組合連合会|第58回学生生活実態調査 概要報告
参考箇所:大学生が不登校になる5つの理由

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