不登校のお子さんへの対応はどうする?タイプ別、年齢別に解説します

この記事をご覧の方の中には「不登校の子どもへの対応がわからない」と悩んでいる方もいるかもしれません。 お子さんの背中を押そうと思って発した一言が、不登校状態からの復帰を妨げてしまう場合もあります。そのため、まずはお子さんの状況を理解した上で適切に対応していくことが大切です。 この記事では、不登校のお子さんへの対応方法をご紹介します。不登校のタイプを6つに分け、それぞれの対応についても解説しているため、お子さんの状況に合わせた対応方法がわかります。不登校のお子さんへの対応に必ずしも正解はありませんが、ぜひ参考にしてみてください。

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監修:中村洸太

監修:中村洸太

博士(ヒューマン・ケア科学)、臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士、池袋心理教育研究所代表、駿河台大学・聖学院大学・目白大学・ルーテル学院大学兼任講師 大学院修了後、心療内科・精神科クリニックや大学病院での勤務を経て、現在は、働くひとやその組織のメンタルヘルス支援などに関わる一方で、スクールカウンセラーとしても活動。小学校から高校生まで幅広く関わる。その他に、性的マイノリティのメンタルヘルス支援や弁護士向けのメンタルヘルス支援、オンラインを用いた臨床活動の研究や実践などを行う。

目次

この記事をご覧の方の中には「不登校の子どもへの対応がわからない」と悩んでいる方もいるかもしれません。

お子さんの背中を押そうと思って発した一言が、不登校状態からの復帰を妨げてしまう場合もあります。そのため、まずはお子さんの状況を理解した上で適切に対応していくことが大切です。

この記事では、不登校のお子さんへの対応方法をご紹介します。不登校のタイプを6つに分け、それぞれの対応についても解説しているため、お子さんの状況に合わせた対応方法がわかります。不登校のお子さんへの対応に必ずしも正解はありませんが、ぜひ参考にしてみてください。

【はじめに】不登校とはどのような状態?

不登校とは、年間30日以上学校を欠席している状態

文部科学省の定義によると、不登校とは、年間30日以上学校を欠席している状態(ただし病気や経済的理由による欠席を除く)を指します。

文部科学省の調査結果では、令和3年度における小中学校の不登校の児童生徒数は、過去最多の24万4,940人にのぼることがわかりました。また、高校の不登校の生徒数は5万985人で、前年度と比べ7,934人増加しています。

令和2年から3年の不登校児童生徒数の増加には、新型コロナウイルス感染症の拡大による環境の変化も影響していると考えられています。その理由は、家庭環境が変化したり、人との関わり方が変わったりなど、環境の変化に対応できずに不登校となってしまったお子さんも見受けられるためです。

また、上記の不登校の定義に当てはまらない、不登校の傾向が見られる児童・生徒は、さらに多いともいわれています。

不登校・不登校の傾向にある児童・生徒の特徴は以下の通りです。

  • 年間30日以上学校を欠席している
  • 保健室や校長室など、別室に登校している
  • 遅刻や早退が多い
  • 授業を欠席する
  • 学校の行き渋りが見られる
  • 学校に行きたくないと毎日感じている  など

ここで留意しておきたいことは、不登校は問題行動ではないという点です。実際に、文部科学省は、「不登校を問題行動と判断してはならない」と全小中学校に向けて通知しています。不登校状態となってしまったことは、さまざまな背景や要因によるため、児童生徒に寄り添った対応が重要となるのです。

(*出典1)不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書 – 文部科学省

不登校の長期化を防ぐには正しい理解が重要

不登校の背景には様々な理由が考えられますので、文科省が指摘するように「不登校=問題行動」と捉えるのは要注意です。その子にとっては、不登校状態にあることが、自分の身を守ることにつながっている場合もあるためです。

しかし、不登校の長期化により、勉強の遅れを取り戻すことが難しくなったり、人間関係を築くことが難しくなってしまったりする恐れもあり、不安になるお子さんや保護者の方も少なくないのではないでしょうか。

とはいえ、お子さんを無理に復学させようとすると現状が悪化し、ますます学校に行けなくなることもあります。

できる限り不登校の長期化を防ぐためには、保護者が不登校について正しく理解し、お子さんを適切にサポートしていくことが重要となるのです。

【6タイプ別】不登校への対応のポイント

不登校は、文科省の定義によると以下の6つに分類されます。

  1. 学校生活上の影響型
  2. あそび・非行型
  3. 無気力型
  4. 情緒的混乱型
  5. 意図的な拒否型
  6. 複合型

ここでは、それぞれのタイプの特徴や対応のポイントをご紹介します。上記の分類も現在では変更されている部分もありますし、全てのお子さんが必ずしも上記に綺麗に当てはまるわけではありませんが、お子さんの状況に似ているタイプを参考にしてみてください。

(*出典2)不登校とは(不登校の定義とタイプわけ) 四日市市

1.学校生活上の影響型

学校生活上の影響型の不登校とは、学校生活での困りごとや悩みごとなどが原因で登校しない、もしくはできないタイプをいいます。たとえば、「勉強についていけない」「同級生とのトラブル」などが原因で不登校となってしまった児童生徒は「学校生活上の影響型」に当てはまります。

こちらのタイプについて詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。

学校生活上の影響型の不登校の特徴とは?原因ごとの対処法も解説

[対応のポイント]

お子さんが何に悩んでいるかを、できる限り把握することが大切です。その理由は、思い込みや勘違いが間違った対応につながる可能性があるためです。学校と連携し、お子さんの不安を取り除けるよう心がけてください

しかし、なかにはすぐには言い出せないお子さんがいるのも現状です。「自分の悩みを話して、家族に迷惑をかけたくない」「本当のことを言ったら、甘えるなと怒られるんじゃないか」「そんなことぐらいでと言われたらどうしよう」など考えてしまっているお子さんもいます。

これまでにお子さんに上記のような言葉をかけたことがある場合は、なかなか自分から言い出せなくなっている場合もあるかもしれません。声をかけるときには、「あなたのいうことを否定したりしないよ」「他の人が気にしなくてもあなたにとって悩むようなこともある」「私は味方だから、話したい気持ちになったら話してね」と、「否定をしないこと」や「味方であること」「話すタイミングはあなたのタイミングを待っている」というようなことをメッセージとして伝えてみてください。

なかには、何に困っているかが自分でもうまく言語化できないお子さんもいます。必ずしも、原因を追求することに躍起にならないことも留意しておきましょう。

学校生活での困りごとを抱えているお子さんであれば、安心できない状況にいるかもしれません。今がどのように過ごせれば安心できるかなどを、一緒に話し合ってみるのも一つです。

2.あそび・非行型

遊ぶため、もしくは非行グループと付き合い始めたことにより、不登校となってしまう場合があります。このようなタイプは、あそび・非行型に分類されます。

[対応のポイント]

あそび・非行型の不登校は、お子さんが犯罪に巻き込まれる恐れがあるため、早期の対応が重要です。家庭内での解決が難しい場合は、外部の専門機関の力を借りながら、少しずつ改善を目指していきましょう。

一方で、あそびや非行が現れる背景には、家庭や学校で居場所がないと感じていることや、劣等感を感じていることもあります。単に行動だけをやめさせようとしても、関係性が拗れてしまうこともあるため、背景にあるその子の思いを考えることも重要です。

こちらのタイプについて詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。

あそび・非行型の不登校の特徴や対応方法を解説

3.無気力型

無気力型とは、無気力感から不登校になってしまうタイプを指します。無気力型の特徴は、例えば、登校を促せば学校には行くものの、長続きせず回復までに時間がかかる点などがあげられます

無気力型の不登校ははっきりした原因が特定できないことも多いようです。

こちらのタイプについて詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。

無気力型の不登校とは?特徴や対応のポイントを解説

[対応のポイント]

日常生活に本人なりの活気を感じられるよう、お子さんが好きなことを応援したり、適度な運動や遊びに誘ったりしてみるのも一つです。

お子さんの中には、少し抵抗を示すものの、背中を押されたり、リードされることで、少しずつ活動が増える場合があります。しかし、なかにはエネルギーが不足しているような状態のお子さんもいるため、匙加減は難しいところです。

お子さんの様子を見ながら、今はどのくらいの塩梅が良さそうかを様子を観察しながら、いい具合を探してみることも一つです。

また、お子さんの自己肯定感の低さが無気力感につながっている場合も考えられます。自分なりのペースでできることが増え、達成感のようなものを得られると、少しずつ自信が構築されていくこともあります。お子さんが自信を持てるよう、日々の関わり方を見直してみてください。

4.情緒的混乱型

情緒的混乱型とは、不安感から登校しない、もしくは登校できないタイプのことです。情緒的混乱型のお子さんは、体調不良を訴えて学校を欠席するケースも多く見受けられます。

こちらのタイプについて詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。

情緒混乱型の原因や特徴について解説!対応のポイントも紹介

[対応のポイント]

「情緒混乱」は、お子さん自身が非常に安心を感じられていない状況が特徴です。どのようなことに不安などを感じているかを確認し、そのお子さんの気持ちに寄り添うことが重要です。

まずは、不安や緊張を和らげてあげましょう。不安のレベルを細かくみてあげて、どのくらいからなら取り組めそうかなど、安心を少しずつ作り上げていくことに取り組んでみることも大切です。その際には、お子さんとコミュニケーションをとり、信頼関係を育てていくことも重要なポイントです。

不安は劣等感にもつながることがあるため、「不安を抱えている状態は悪いことではない」「少しずつ一緒にできるようにやっていこう」というスタンスを意識してみましょう。

一方で、保護者自身の不安感が強い場合もあるため、保護者自身が不安が強かったりすることがあれば、まずはご自身の不安について外部の専門機関に相談しても良いでしょう。

5.意図的な拒否型

意図的な拒否型とは、何らかの要因により学校に行く意義が見出せず、学校に行くことを拒否するタイプをいいます。たとえば、「学校の授業を受けるより、自分で勉強する方が良い」と登校を拒否する生徒は、意図的な拒否型に当てはまります。

こちらのタイプについて詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。

意図的な拒否型の不登校の原因とは?対応方法や特徴を解説

[対応のポイント]

この場合、お子さんの意見を無視して、学校に行くよう説得することは効果的とは言えません。その理由は、意図的な拒否型は、明確な意図を持って不登校を選択しているお子さんが多く、登校を再開することだけがお子さんにとっての最適な選択とは限らないためです。

大切なお子さんが不登校になると、不安でいっぱいになり、感情的になることもあるでしょう。また、周りのお子さんを見て「みんなは行けているのに、どうしてうちの子ばかり」と複雑な心境になることもあるかもしれません。

しかし、1人の人間として芽生えた意志を持って成長できているという側面もあります。保護者自身の学校に対する考え方や体験、世間の当たり前に囚われず、どのような過ごし方がお子さんにとって最適かを一緒に考えていくことが必要です。

6.複合型

複合型は、さまざまな要因が重なり、不登校になってしまったタイプのことです。先述した他のタイプが混同していくケースも見受けられます。

[対応のポイント]

不登校の原因を追求したり、特定したりすることが必ずしも最善策なわけではありませんが、お子さんの状況をできる限り理解してあげることが大切です。複合型など、部分部分で思い当たる節がある場合は、保護者自身がまずはお子さんの状況を整理してみましょう。今どのように過ごすのがその子にとっての最適解に近いのかを考えながら対応してあげてください。

【学年別】不登校の原因や対応のポイント

不登校のお子さんへの接し方は、基本的に全学年に共通しているといえます。保護者がお子さんの状況をできる限り理解し、寄り添ってあげる姿勢が大切です。

しかし、学年が上がるにつれて、進路や将来に関する不安など各学年特有の悩みが出てくるため、対応が少し異なる場合もあります。

ここでは、小学生低学年・小学校高学年・中学生・高校生の不登校に対する対応をご紹介します。

小学校低学年の場合

保護者と長時間離れることに強い不安を感じ、不登校となってしまうお子さんが比較的多く見受けられるのが低学年です。

情緒的混乱型の対応でも解説した通り、お子さんの不安をできる限り取りのぞいてあげることが大切です。お子さんが「ひとりでも大丈夫だ」「何かあっても家族が味方でいてくれる」と安心できるよう、日々のコミュニケーションを見直してみてください。

また、集団行動に慣れずに、疲れてしまうような場合もあります。低学年のお子さんが自分の困り事や感情を言語化するのがまだ難しい場合もあるため、言語化していくことのサポートをしてあげることも重要です。

中学年くらいになると、学習面でのつまずきやコミュニケーションなどが周囲の子に比べると幼く見えることなど、周りのお子さんとの違いが気になりやすい時期でもあります。お子さんの成長の様子などもみつつ、関わりを考えていきましょう。

小学校高学年の場合

高学年は思春期を迎え始める時期です。そのため、友だち等との人間関係の悩みが増えてストレスを感じやすくなることがあります。

また、勉強面のレベルもさらに上がってくるため、ついていけなくなってしまうお子さんも増えがちです。不登校の原因がどのようなものであっても、親や学校など、周囲のサポートによって状況の改善も期待できます。そのため、焦らずに安心を積み重ねていきましょう。

(*出典3) 小学生の不登校の対応 Allight Education

中学生の場合

文部科学省の調査によると、不登校の生徒数は年齢が上がるごとに増加し、中学生でピークを迎えます。

(出典:令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

中学生が不登校となる背景には、小学校から中学校への環境の変化も一つの要因です。別の小学校の子との関わりも増え、今までとは違う新しい人間関係を作ること、教科ごとに先生が変わること、科目の名称の変化、中間テストや期末テスト、部活動での先輩後輩関係などの新しい環境に適応することにエネルギーを要するお子さんも少なくありません。さらに、人間関係のトラブルや学業不振、進路の悩みなども付随して生じます。

また、中学生は思春期に加え反抗期に突入するため、「今までは学校であったことを家でも話してくれていたのに」とお子さんの対応の変化に戸惑ってしまう保護者もいるかもしれません。また、小学校に比べると中学校はお子さんの様子が見えにくくて余計に不安になってしまうという声も耳にします。

中学生は、保護者から精神的に自立し始める時期でもあり、周囲との関わりの中で自分の意思や考え方を確立していきます。保護者が必要以上に干渉してしまうと、かえって心を閉ざしてしまう場合もあります。不登校に限らず、お子さんが中学生の場合は、中学生なりのお子さんの意見を尊重してあげることが大切です。

お子さんが「学校に行きたくない」と訴えたときは休ませることも含めて、お子さんの意見を尊重し、一緒に考えながら、サポートしていくことを心がけてください。

中学生の場合、進路を考えると出席日数に関する懸念もあがってきます。フルで授業に出席することだけを目指すのではなく、他の選択肢も検討してみるといいかもしれません。たとえば、途中からの出席や、保健室登校・別室登校(部屋の確保など、学校によって可否は分かれます)、地域の教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールなどの利用など、学校以外の場所を活用し、出席日数や勉強の機会を維持することも重要です。

(*出典4)茨城県教育委員会 家庭教育応援ナビ

高校生の場合

高校は義務教育ではないため、不登校が長期化すると進級や卒業が難しくなります。私立や公立によっても出席日数の取り扱いなどが変わる場合があり、欠席日数が規定数を超えると授業を落としてしまいます。

場合によっては進級ができない恐れもあるため、単位取得などを含め、あと何回欠席しても大丈夫なのかなどを意識しながら早期に対応することも重要です。

しかし、無理に復学を目指す必要はありません。学校生活自体が負担の場合には、再登校し始めて不登校は解消したとしても、それがお子さんを苦しくさせるような場合もあります。

在籍校に再登校できることも一つの手ですが、他にも通信制の高校への編入・転入や、高卒認定の取得など、さまざまな選択肢があります。

一度入学をした学校を変更することは大きな勇気が必要なこともありますが、今の学校を辞めたら他に選択肢はなくてもう人生終わると思ってしまっているお子さんも少なくありません。

お子さんが落ち着いているタイミングを見て、さまざまな選択肢があることを提示した上で、どのようにしていくのが良いかをじっくり話し合ってみてください

また、高校生は、進路や将来に対する不安を抱きやすいです。「将来どのようなことをやってみたいのか」「目標を叶えるために必要なことは何か」など、お子さんの進路を一緒に考えてあげる姿勢も大切です。

不登校の対応で保護者が気をつけたい6つのポイント

不登校の対応はお子さんの気持ちに寄り添い、対策を一緒に考えていくことが大事といえるでしょう。しかし、「寄り添う」と言っても、どのようにすれば寄り添うことになるのか難しくなってしまうこともあるかと思います。ここでは保護者が気を付けておきたいポイントについて解説します。

【ポイント①】無理強いせず不登校中の過ごし方を一緒に考える

お子さんが不登校になってしまった不安感から、登校を無理強いしたり、学校に行かないのであればせめて家で勉強するように強く言ってしまったりすることもあるかもしれません。

しかし、そのような保護者の言葉によってお子さんが追い詰められてしまい、ますます不安定になってしまうこともあります。

また、お子さんが家でゲームばかりしていると、つい「ゲームをやめなさい」と言ってしまうこともあるでしょう。しかしお子さんは、日々溜まったストレスをゲームで発散しているのかもしれません。

とくに、「日常の現実で不全感がある」「居場所がない」「達成感がない」とお子さんが感じている場合、居場所や達成感をゲームの中に求めるケースも少なくありません。オンラインゲームでは、ゲームという共通項を持って繋がれる人もいます。会話をしながら一緒にプレイもできるため、コミュニケーションの機会も持つことができます。安心できる人間関係をオンラインの場に求めると、どんどんゲームにハマっていくお子さんも少なくありません。そのため、単にゲームを取り上げても事態が好転しない場合もあります。

過度なのめり込みに心配してしまう保護者もいるかもしれません。しかし、不登校は、日々のストレスが蓄積され、学校にいけないという行動として表れている場合も珍しくないため、リラックスして休める期間が必要です。

ゲームを息抜きとして約束を守りながら、徐々に元気を取り戻していくことも重要です。そうすることでエネルギーが蓄積されたり、発散できたりすることで学校に復帰できる場合などもあります。

今はエネルギーを充電させる期間として見守り、本人の言い分にも耳を傾けつつ、過ごし方を一緒に考えていきましょう。

不登校中のゲームとの付き合い方についてさらに知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

不登校中のゲームとの付き合い方。依存リスクやゲームのメリット・デメリットについて解説

【ポイント②】過剰な期待を持たない

お子さんに対して過剰な期待を持たないようにしましょう。その理由は、保護者からの期待が大きなプレッシャーとなり、ストレスを感じてしまうお子さんもいるためです。

その結果として、「期待に応えられない自分はダメな人間なんだ」と劣等感を抱き、お子さんの自己肯定感が低下してしまうこともあります。

よく前日の夜には「明日は学校に行く」というけれど、翌朝になると学校に行くことができないようなことがあります。お子さんは、学校に行けなかった時の保護者の表情の変化をよくみていることがあります。そうした表情の変化や、学校に欠席の連絡をする際の言葉の様子などもよく見たり聞いたりしています。「今日も欠席します」という言葉の「も」に込められたニュアンスなどもお子さんにとってはプレッシャーになるようなこともあるようです。

お子さんの将来を思うと、「なるべく早く学校に復帰してほしい」と感じることもあるでしょう。しかし、実際に登校するのはお子さん自身です。お子さん自身が今どうしたいのかを考えることも大切です。

お子さんに過度なプレッシャーを与えず、今のエネルギーや安心状況で実現可能そうなところを考え、お子さんの選択や行動を見守ってあげましょう。

また、状況が良くなってくると保護者としては嬉しい気持ちや、「次はこれをできるようになろう」と「次へ次へ」とステップアップを求めてしまうこともあります。しかし、保護者が嬉しそうにしていると「学校に行くことは喜んでもらえること=学校に行かないと喜んでもらえない」などがプレッシャーになったり、好転した状況を維持することでも実はかなりエネルギーを要する場合もあるため、次へ次へとなってしまうことが辛くなってしまうお子さんもいるので、気を付けることも重要です。

学校に行こうが、行くまいが、あまり一喜一憂しすぎないことも重要かもしれません。

【ポイント③】お子さんの自己肯定感を守る

お子さんの自己肯定感を守るような接し方を心がけましょう。

不登校のお子さんは、自己肯定感が低い傾向にあります。自己肯定感という言葉はよく耳にする言葉ではありますが、きちんと理解しようとするとなかなか抽象的で難しい概念でもあります。

自己肯定感とは「自分自身や自分が感じている感情を否定されることを恐れていない」「自分の頑張りを認めてくれる人が身近にいること」「自分には味方になってくれる人がいること」などをイメージしていただくと良いかもしれません。お子さんの自己肯定感は、保護者の接し方で大きく変わってくるといえます。

[自己肯定感を高める接し方の例]

  • お子さんの感情をそのまま肯定してあげる
  • 小さな目標を一緒に設定し、達成できたら褒めてあげる
  • 成果に限らず、頑張った過程も褒めてあげる
  • 達成できなくても頑張れたことを探したり、次に活かせることを一緒に考える
  • ネガティブな言葉を使わない
  • 日頃から愛情を伝える
  • 他人と比較して優劣をつけず、違っていても、それぞれの良さがあることを伝える  

こうしてお子さんの自己肯定感が高まると、自分の力を信じて挑戦できる力が生まれてきます。挑戦してみようと前向きな気持ちになれば、「学校にも行ってみようかな」という気持ちが芽生えることもあります。

必ずしも、学校に戻ることを目指す必要はありません。しかし、学校以外の選択を選んだとしてもその道をお子さん自身が肯定できることが非常に重要です。

【ポイント④】生活リズムを保つ

お子さんの生活リズムが崩れないよう、気をつけてあげてください。昼夜逆転が習慣化し、朝に起きられず学校に行けないという悪循環に陥ってしまうお子さんも少なくありません。

実際に、文部科学省が行った「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」によると、不登校になった最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由の答えとして、小・中学生ともに生活リズムの乱れが上位にあがっています。ゲームや動画を夜遅くまでやっていて、朝が起きられないお子さんも増えてきているようです。

生活リズムを整えるには、「起きる時間や寝る時間のルールを決める」「日中は趣味や運動などに取り組む」などを意識すると良いでしょう。登校にかかわらず、昼夜逆転していると、気分も乱れがちだったり、家族内でのコミュニケーションの機会が減ってしまったりすることもあります。

不登校の長期化を防ぐことはもちろん、お子さんの健康や身体の成長なども考えると、生活リズムを一定に整えていくことは大切です。

不登校のお子さんの生活リズムについてさらに知りたい方は以下記事をご覧ください。

不登校の中高生は昼夜逆転しがちなのはなぜ?治し方や注意点を親子の両視点で解説

(*出典5)令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要

【ポイント⑤】外部の機関にも相談する

お子さんが不登校になってしまったら、今後の不安や焦りから、保護者も心に余裕がなくなることがあります。そのような時は、一人で悩まずに外部の機関に相談してみてください。

たとえば、住まいの地域の「教育支援センター(適応指導教室)」「子ども家庭支援センター」「児童相談所」「保健所」などの公的機関では、保護者の相談に乗ってくれます。名称や対応の可否は地域によっても異なる場合があります。

公共の相談機関は設定されているため、どのような相談機関があるかは、お住まいの地域の役所などで問い合わせてみたり、ご自身で検索してみてください。

また、不登校のお子さんを持つ保護者のコミュニティなどが、地域の中にあったり、SNSなどでつながることもひとつの手です。弱音を吐き出したり、誰かに話しを聞いてもらうことで、気持ちが楽になることもあるでしょう。家庭内のみで悩まず、外部の機関や同じ悩みを持つ人にも頼ってみてください。

【ポイント⑥】学校以外の居場所を探す

不登校の状態にあることで、家庭しか居場所がなかったり、人との関わりがなくなってしまうお子さんも少なくありません。より閉鎖的な気持ちになってしまうこともあったり、悪循環に陥ってしまうこともあるため、学校以外にもお子さんの居場所を確保してあげることをおすすめします。学校以外の社会とつながることでお子さんの世界も広がり、孤独を感じにくくなるためです。

たとえば、不登校のお子さんの居場所として、フリースクールを検討してみても良いでしょう

フリースクールとは、学校に行けなくなってしまったお子さんが通う民間の教育施設のことです。学校への復帰を目的としていたり、個別指導に対応していたりなど、各施設によって特色が異なります。そのため、お子さんに合ったフリースクールを選ぶことが大切です。

ありのままの自分を受け入れてくれる場所が見つかれば、お子さんの気持ちが明るくなり、不登校の解決につながることもあります。

フリースクールとは?基本情報から学費・進学可否まで幅広く解説

【まとめ】お子さんの心身を第一にできることを考える

この記事では、不登校のお子さんに対する対応についてご紹介しました。

まとめると、学校に登校できるようになることだけを考えたり、学校への復帰を焦るのではなく、まずはお子さんに寄り添い話を聞くことが重要といえるでしょう。

  • 無理に登校はさせず、ゆっくりと休める環境をつくる
  • お子さんの状況や不登校の原因に合わせた柔軟な対応が大切
  • 学校以外のお子さんの居場所として、フリースクールの活用も検討してみる

お子さんが不登校になってしまったら、「早く学校に戻れるようになってほしい」と焦ってしまうこともあるでしょう。しかし、無理に登校させても不登校の原因解決には繋がりません。お子さんの気持ちに寄り添って、まずはリラックスして休める環境を整えてあげることをおすすめします。

【出典一覧】

*1 不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書 – 文部科学省
参考箇所:【はじめに】不登校とはどのような状態?

*2 不登校とは(不登校の定義とタイプわけ) 四日市市
参考箇所:【不登校の6つのタイプ】対応のポイント

*3 小学生の不登校の対応 Allight Education
参考箇所:お子さんが小学生の場合は学齢で対応が変わる

*4 茨城県教育委員会 家庭教育応援ナビ
参考箇所:お子さんが中学生の場合は意思の尊重を

*5 令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
参考箇所:【ポイント④】生活リズムを保つ

【監修者コメント】

本記事では、不登校のお子さんへの対応方法ということで紹介をしています。6つのタイプについては、詳細の記事がそれぞれございますので、そちらも合わせてご覧になってみてください。

ここでの対応方法は、タイプによらずに共通しているようなものが多くまとめられています。しかし、実際のところお子さんの不登校の問題の背景は様々ですし百人百様です。

例えば、お子さんの自己肯定感を守るという対応についても、実際にはそのお子さんや保護者の方のあり方次第で、やり方は変わってきますし、助言などの仕方も変わってくるところかと思います。

保護者が相談をした際によくかけられる言葉に「様子をみましょう」という言葉があります。この言葉に悩まされる保護者の方も少なくはないようです。

ファッションモデルのアンミカさんの発言で「白って200色あんねん」という言葉が話題になりましたが、「様子をみましょう」にも何百通り、いやそれ以上のパターンがあると思います。

「様子をみましょう」という言葉には、無理に学校に行かないことも、少し頑張って学校に行ってみることも、家でゲームをやってもいいことも、家ではゲームはやりすぎないことも、生活リズムを可能な限り整えることも無理に早起きしないことも、できる範囲で勉強に取り組むことも無理に勉強をしないことも、多様に含まれます。

様子を見ることは非常に重要ではありますが、今はどんなふうに様子を見るのがいいのか、どんな状態になったら違った様子を見ることにシフトするのかなどは、調整していくことも重要です。

杓子定規にこうすればいい、ということを考えるのではなく、その時々のお子さんの「様子を観察しながら」どんな言葉をかけたり、過ごし方をするのがいいのかなどを考えてみてください。

参考:子育てのほんとうの原理原則 「もうムリ、助けて、お手上げ」をプリンシプルで解決

そして、それを一人で行うのはなかなか骨が折れる作業です。ぜひ、その作戦会議を専門家や第三者の力を借りて行うことも考えてみてください。

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