フリースクール・ICTでの学習は出席扱いされる?要件やフリースクール選びのポイントを解説!

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目次

フリースクールや自宅でのICT(PCやアプリケーションなどの通信技術の総称)による学習で、不登校のお子さんでも、出席扱いとなる制度があることをご存じでしょうか。

不登校でも出席扱いとして認められ、書類や調査書に出席日数を記録することができ、お子さんの可能性が広がります。お子さんが頑張って学習をした証を残せるのは、進学に関してメリットがあるだけでなく、お子さんの自信にもつながるはずです。

この記事では、フリースクールや自宅学習で出席扱いされるための要件や、フリースクールの基礎知識から選び方などについて解説します。お子さんにとって最適な選択肢を模索している方はぜひ参考にしてください。

そもそも出席扱い制度とは?

出席扱い制度は、登校しなくても出席扱いとして認められる制度で、文部科学省によって定められています。制度を利用するためには、お子さんが学校外の施設または家庭で学習等をしていることを保護者が申請して、学校長に認めてもらう必要があります。

文部科学省は、出席扱い制度について「文部科学省から一律に基準を示すことはしておらず、学習の内容や時間を踏まえて学校長の判断で出席扱いとする(一部省略)」と公表しています。つまり、出席扱いとなるかどうかには明確な基準はなく、1人ひとりの実態に合わせて判断されます。

(*出典1)文部科学省|(別記1)義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて、(別記2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

フリースクールとは

先生から教えてもらい笑顔の女の子

出席扱い制度となる方法の1つとして、フリースクールに通うという手段があります。フリースクールはさまざまな理由があって学校に通って学習をするのが難しい小・中・高校生たちが、学びや体験、相談をできる場所です。

お子さん主体の居場所となる学びの場

1985年に設立された、日本におけるフリースクールの草分け的な存在である「東京シューレ」では、フリースクールを「一般に、子ども主体・子ども中心の教育を行い、教育内容を自由に創り出す学校」としています。

フリースクールは、主に不登校の児童生徒たちの居場所を保障する場所であり、今では全国各地に設置されています。学校のように決められたカリキュラムがなく、お子さん自身の「やりたい」という気持ちを大切にして活動内容が決まるのが特徴です。時にはお子さんたち自身が企画し、ハイキングなどのレジャーや季節のイベントなどを行っている施設もあります。

フリースクールはお子さんが出席扱い制度を利用しながら、学習の不安の解消、学校以外の居場所づくり、コミュニティの形成を叶えられる場所といえます。学習をしながら社会とのつながりを作れることは、学校や社会への復帰を目指す不登校のお子さんにとって大きな自信になるでしょう。

運営は民間施設

フリースクールは民間が運営している施設であり、公的な学校ではありません。そのため、小・中学校の義務教育期間は、通っている学校に籍を置いたままフリースクールに通うことになります。あくまで在籍は通っている学校にあり、フリースクールでの活動を在籍校の出席日数として反映する扱いになるということです。

また、フリースクールは無料ではありません。基本的にどの施設も入学金、授業料、施設充実費用などの費用がかかります。入会の前に無料で体験入学を行っている施設もあるため、お子さんが居心地の良さを感じられる施設を見つけるために複数の施設の体験入学を利用してみるのも良いかもしれません。

フリースクールについては以下の記事で詳しく解説しています。

▶︎フリースクールとは?基本情報から学費・進学可否まで幅広く解説

フリースクールの出席扱いについて

フリースクールの通学を出席扱いとして認めてもらうためには、文部科学省が定めるいくつかの要件を満たす必要があります。ここからは、出席扱いとして認められるために必要なこと、留意点について詳しく解説していきます。

要件を満たせば出席扱いされる

文部科学省は「義務教育段階の不登校児童生徒がフリースクールなどの外部施設で指導を受けた場合、一定の要件を満たせば出席扱いとする(一部省略)」と公表しています。

フリースクールの通学で出席扱いとなる要件は以下の通りです。(文部科学省が公表している要件を要約)

  1. 保護者と学校の間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
  2. 当該施設は教育委員会等が設置する教育支援センター等の公的機関であること。ただし、公的機関の通学が困難で保護者と本人の希望がある場合、校長に適切と判断されれば民間の相談・指導施設も考慮される。
  3. 当該施設に通所または入所して相談・指導を受ける場合を前提とする。
  4. 学校外の施設で行われた学習内容が、在籍校の教育課程に適切と判断された場合。

(*出典1)文部科学省|(別記1)義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

これらの要件を満たし、適切な指導を行う施設であると学校長が判断した場合に出席扱いが認められます。つまり、フリースクールでの活動内容が教育課程に適していると学校長に認められれば、出欠扱いとなるということです。

ICTを活用した学習活動でも要件を満たせば出席扱いされる

出席扱い制度が認められる方法として、自宅などでICTを活用した学習活動をするという手もあります。

文部科学省から公表されている要件を以下にまとめました。

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
  2. ICTを活用した学習活動とは、コンピュータやインターネット、郵送、FAXを活用した学習活動であること。
  3. 継続的な訪問等による対面指導が行われることを前提とすること。
  4. 当該児童生徒の学習理解度を踏まえた適切な学習プログラムであること。
  5. 校長は、当該児童生徒に行われる対面指導や学習活動について十分に状況を把握すること。
  6. ICT等を活用した学習活動を出席扱いとするのは、基本的には当該児童生徒が学校外の施設で相談・指導を受けられないような場合であること。なおかつ、対面指導が適切に行われることを前提とする。
  7. 学習成果を評価に反映できるのは、学校の教育課程に照らし適切と判断された場合であること。

文部科学省|(別記2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて「出席扱い等の要件」を要約

フリースクールなどに通うことが難しいお子さんは、ICTを活用した学習で出席扱い制度を利用するのおすすめです。

しかしながら、ICTを活用した学習活動で出席扱いとなるには、フリースクールなどの学校外の施設で学習ができない理由があり、継続的な対面指導を受けるという条件が必須になるので注意しましょう。そして、最終的に学校長の判断が必要であるため、ICTを活用した学習活動を検討する段階で学校に相談しながら進めると安心です。

出席扱いされれば、フリースクールに通うための通学定期も発行可能

フリースクールを検討する際に、交通費について心配に思う方もいるのではないでしょうか。実は、出席扱いと認められれば、学校に通うのと同じ割引率の「実習用通学定期」が使用可能です。所定の申請、手続きを行えば通学定期券を使用できます。

(*出典2)文部科学省|登校拒否児童生徒が学校外の公的機関等に通所する場合の通学定期乗車券制度の適用について

なお、使用にあたっては、通学定期乗車券の発売に必要な申請書の手続きを在籍校の学校長が行います。そのため、電車やバスを利用してフリースクールなどに通うことを検討する場合には、早めに手続きの相談をしておくと良いでしょう。

フリースクールに通えば、学校(在籍校)の卒業資格は得られる?

勉強をする女の子

フリースクールは民間の施設であり、通うことで学校の卒業資格を得ることはできません。

そもそも小・中学校に通うお子さんの場合は、義務教育課程において留年というシステムが適用されることがほぼないため、仮に1日も出席しなくても学校を卒業できます。

フリースクールで出席扱いを受ける意味は、お子さんの学習した証が成績として残る点にあります。頑張りが目に見える形として残るのは、高校進学時の内申点にプラスになるばかりでなく、お子さんの自尊心を高めることにもつながります。

ただ、高校では卒業要件が設定されています。高校で卒業資格を得るためには、出席日数とテストの点数の双方を揃えて所定の単位を取得する必要があります。高校においても平成21年度より出席認定が促進されるようになりましたが、出席扱いとなるだけでは卒業要件を満たすことはできません。

高校に通わない場合は、「高校卒業程度認定試験(旧大検)に合格する」「フリースクールと定時制高校や通信制高校を併用する」といった方法を取ることで高校の卒業資格を得ることができます。

フリースクール卒業後の進路

フリースクール卒業後に、進学や復学、就職をしている人は数多くいます。

文部科学省が発表した「不登校に関する実態調査」では、中学3年時に不登校だったお子さんは5年後に、およそ82%が就学・就業しているという調査結果が出ています。義務教育期間であれば、小学生は一般的な公立中学に進めますし、中学生は全日制の高校に進学するなど、ほかの生徒と変わらない進路を歩むことも可能です。

(*出典3)文部科学省|「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)

入試においても欠席日数を重視せず、当日のテストの点数の比重を大きくしている学校も多くあります。また、不登校の生徒を柔軟に受け入れている学校などもあるため、学校と相談しながら進路を決定していくことで、お子さんに合う進路が見つかるでしょう。

出席扱いを受けられるフリースクール選びのポイント

PCで調べ物をする男の子

フリースクールを選ぶ際にはお子さんが居心地よく過ごせる場所であることはもちろんのこと、活動内容や通学の便、指導者との相性など、気になるポイントはたくさんあるでしょう。ここでは、フリースクール選びの際に考えるべきポイントを解説します。

在籍する学校に相談する

出席扱いを受けるためには、学校と十分な連携が取れていることが要件となります。そのため、学校に相談して学校側からフリースクールを紹介してもらうと、とてもスムーズに選べるためおすすめです。

学校に相談すれば、1からフリースクールを探す手間が省け、スピーディーに決められます。また、ある程度お子さんのことを把握してくれているため、お子さんに合うフリースクールの候補を出してくれるでしょう。

「NPO法人フリースクール全国ネットワーク」を利用する

NPO法人フリースクール全国ネットワークとは、2001年2月に結成された、全国のフリースクールが繋がることを目的とした団体です。「誰もが自分らしく生きられる社会」を目指し、登校拒否・不登校について考える全国大会やイベント、政策提言活動なども行っています。

ホームページ上では、問い合わせページからフリースクールに関する質問ができ、メールで回答を受け取ることができます。インターネット上からフリースクールの正しい情報やアドバイスをもらいたいときに、利用してみてはいかがでしょうか。

フリースクール全国ネットワーク

フリースクールのホームページをチェックする

ほとんどのフリースクールが、各々のホームページを持っています。ホームページには理念や基本方針、活動内容、日のスケジュール例、利用者の声、入学金・授業料などの費用、体験入学などの情報が掲載されています。比較検討する際の材料にもなるため、気になるフリースクールのホームページは細かく見ることをおすすめします。

中には中学フリースクールからそのまま連携する高校へ進学できるようなところもあります。お子さんの進学・復学意志が強い場合には、学校と密な連携が取れるフリースクールかどうかをホームページでよくチェックしましょう。

まとめ

出席扱い制度は「学校以外での学習を評価してもらいたい」というお子さんの頑張る気持ちを応援するために作られた制度です。フリースクールでの学びや人とのつながりが成果として学校に認められることは、お子さんが自信をつけて将来へ踏み出せるステップになるかもしれません。お子さんの可能性が広がる方法の1つとして、ぜひ検討してみてください。

【出典一覧】

*1 文部科学省|(別記1)義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて、(別記2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて
参考箇所:そもそも出席扱い制度とは?、要件を満たせば出席扱いされる

*2 文部科学省|登校拒否児童生徒が学校外の公的機関等に通所する場合の通学定期乗車券制度の適用について
参考箇所:出席扱いされれば、フリースクールに通うための通学定期も発行可能

*3 文部科学省|「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)
参考箇所:フリースクール卒業後の進路

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