不登校のお子さんを持つ保護者にとって、欠席日数の増加は進級や卒業、受験に直結するため、大きな不安となるでしょう。
文部科学省が公認する「出席扱い制度」は、不登校の児童・生徒でも学校以外の場所での学習や活動を通じて出席日数を得られる仕組みです。
この制度は、不登校のお子さんに学校以外の居場所や学びの機会を提供し、進級や進学へのハードルを下げる目的で作られました。
本記事では、この制度の現状や活用のポイント、認定までの流れを詳しく解説します。
また、制度を利用できる具体的な選択肢も紹介し、制度の利用を検討する際に知っておくべき情報をお伝えします。
出席扱い制度を活用することで、不登校という困難な状況でも、お子さんの可能性を広げる第一歩を踏み出してみましょう。
不登校生の出席扱い制度の現状
不登校の増加に伴い、文部科学省が定めた「出席扱い制度」が注目されています。
出席扱い制度は、不登校のお子さんが学校に通えない期間でも、自宅やフリースクール、オンライン学習など、学校以外の場で行う学びや活動を「出席」として認める仕組みです。
制度利用の実態は?
不登校の児童生徒数は年々増えていますが、出席扱い制度そのものの認知度が低いため、実際に制度を活用している不登校のお子さんはごく一部に留まっています。
一部の調査では、不登校生全体のうち10%以下しかこの制度を利用していないとの報告もあります。
また、保護者が出席扱い制度の存在を知っていても、学校側が制度の利用に消極的だったり、保護者が手続き方法を知らなかったりするため、制度を活用しきれていないケースが目立ちます。
文部科学省は、出席扱い制度の認知を向上させ、制度を活用する不登校のお子さんを増やしたい狙いもあり、出席扱い制度に対応するフリースクールやオンライン学習機関の拡充を進めています。
これにより、不登校のお子さんの未来の可能性を広げることが期待されています。
出席扱い制度の目的
文部科学省が定めた「出席扱い制度」は、不登校の児童・生徒に対し、多様な学びの機会を提供しながら、学業の継続を支援するために設けられた制度です。
その主な目的を解説します。
1. 多様な学びの尊重
文部科学省は、不登校を単なる「欠席」ととらえるのではなく、お子さん一人ひとりの状況に合わせた多様な学びを尊重する方針を取っています。
学校以外の場での学びや活動を正式に「出席」として認めることで、不登校のお子さんが自分に合った方法で学び続けられる環境を整えることを目指しています。
フリースクールやオンライン学習、地域活動など、お子さんが学校以外で得られる教育的な経験を重視しています。
2. 学校とのつながりを保つ
不登校期間が長引くと、学校との関係が希薄になることが多いですが、出席扱い制度を活用することで、学校に在籍しながら、間接的にでも学習や活動を継続できる環境を提供します。
これにより、再登校のきっかけを作ることも期待されています。
3. 子どもたちの進級・卒業のサポート
不登校が原因で進級や卒業が困難になることを防ぎます。
出席日数が確保できるため、不登校のお子さんでも通常の進級・卒業基準を満たしやすくなり、高校や大学進学の道が閉ざさないことを目的としています。
4. 社会的な孤立を防ぐ
学校に行けない状況でも、外部機関や地域、家庭を含めた「居場所」としてのつながりを維持し、社会的孤立を防ぐことを目指しています。
特にフリースクールやオンライン学習の活用は、お子さんが安心して学びを続ける手助けとなります。
5. 子どもの個性や多様性を認める社会の実現
不登校の原因や背景はそれぞれで異なり、画一的な対応では限界があります。
出席扱い制度は、不登校のお子さんの多様な事情や個性に応じた柔軟な教育支援を可能にし、社会全体で子どもたちを支える風土を醸成することを目的としています。
出席扱い制度のメリット
出席扱い制度のメリットは大きく3つあります。
1:お子さんの自己肯定感の醸成に繋がる
2:内申点向上が見込める
3:学校への復帰可能性が広がる
それぞれ解説します。
1:お子さんの自己肯定感の醸成に繋がる
学校にいけなくなったお子さんの多くは、「学校に行けていない」という罪悪感や不安を人知れず抱えています。
自宅での学習が出席扱いとして学校から認められることで、自己肯定感の醸成が期待でき、学習意欲の向上などが見込めます。
2:内申点向上が見込める
出席扱い制度制度の申請が認められると、学校を欠席していても自宅で所定の学習をすることで、内申点をもらうことが可能になります。
3:学校への復帰可能性が広がる
出席扱い制度は学校への復帰を円滑にすることを目的に文科省が制定した制度です。
不登校のお子さんにとって、学校への復帰が必ずしも、唯一の選択肢ではありません。
しかし、学校への復帰を希望されるご家庭にとっては、その第一歩として大変有効な制度と言えるでしょう。
出席扱い制度を使うための要件
お子さんの対象年齢
出席扱い制度を利用できるのは小学生・中学生のお子さんのみです。
高校生のお子さんは制度が利用できないため留意しましょう。
7つの詳細な要件
基本的には、出席扱い制度の認定実績のあるフリースクールであればクリアできる要件です。
一方で自習メインのICT教材だと、学校との折衝は保護者が行う必要がある場合があるため注意しましょう。
- 保護者と学校の関係が十分に緊密であること
- 学習活動がITなどを活用することによって提供されていること
- 対面指導が定期的・継続的に、適切に行われること
- 計画的な学習プログラムであり、学習の理解に基づいていること
- 校長が対面指導や学習活動を十分に把握していること
- ICT等を活用した学習活動を出席扱いとするのは、学校外の機関や施設で相談や指導ができない場合に行う学習活動であること
- 学習活動の評価は、その学校の教育カリキュラムに基づいて判断すること
【出典】文部科学省不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて
出席扱い制度は独力で申請できる?
出席扱い制度の申請はご家庭でも可能ではありますが、簡単ではありません。
申請に必要な書類の準備や学校側とのやり取りを行って、認定が下りるまで対応する必要があり、学習スタート後も継続的に学習内容や進捗を報告する必要があります。
そのため、出席扱い制度をサポートまで対応しているフリースクールやICT教材の活用をおすすめします。
出席扱い認定までのフロー
出席扱い制度の申請は、書類を取り寄せて提出すれば完了、といった一般的な申請フローではありません。
まず、出席扱い制度が認められるICT教材・フリースクール等の資料請求を行い、どの学習サービスを利用するかを検討していきましょう。
ICT教材・フリースクールが決まったら、出席扱い制度について学校に相談をしましょう。
学校側も出席扱い制度について詳しくないこともありますので、請求した資料を持っていくと説明しやすくなります。
その後、学校側で協議が行われ、学校長の裁量で申請の認定が行われます。
認定されたら学習をスタートしていきます。
学習スタートした後も、学習の進捗や状況は学校とコミュニケーションを取りながら進めていきますので連携は必須です。
出席扱い制度の申請サポートを行っている教材・フリースクールがオススメ
出席扱い制度を申請するにあたって「前例がない」「オンライン教材の内容を確認したい」など、すんなりと認定が下りない可能性もあります。
なかなか独力で出席扱い制度を利用するのは簡単ではありません。
ICT教材やフリースクールを活用する場合は、出席扱い制度の申請サポートまで対応してくれるところが望ましいでしょう。
出席扱い制度に申請ができるオンラインフリースクールはSHINGAKU
シンガクは、60年以上京都で塾経営をしている成基コミュニティグループが運営するオンラインフリースクールです。
不登校児童に「新しい学びの場」を提供しており、無学年式ICT教材「すらら」の活用・メタバース教室の開校・出席扱い制度申請支援が特徴です。
不登校のお子さんの出席扱い制度の申請を検討している方は、ぜひ一度無料相談にお越しください。
こちらは出席扱い制度の申請を”成果報酬”でサポートするサービスです。
申請後、出席扱い制度の適用のため無学年式ICT教材「すらら」での学習を進めていくコースです。
不登校の出席扱い制度に関するよくある質問
Q1:出席扱いと出席の違いは?
「出席扱い」と「出席」は同じ意味合いに思えますが、教育制度上では明確な違いがあります。
それぞれの意味と違いを解説します。
1. 出席とは?
意味:児童生徒が学校の授業や活動に直接参加すること
条件:学校に登校して授業を受ける、行事に参加するなど、学校施設内で活動することが基本
例:朝のホームルームから放課後まで学校で過ごした場合、その日は「出席」と記録
2. 出席扱いとは?
意味:学校外での活動や学習が学校によって「出席」と認められる制度
フリースクールでの活動や教育支援センターでの学習が「出席扱い」として認定された場合、実際には登校していなくても、その日が「出席日数」として加算
条件:文部科学省が定める条件を満たした学習活動が対象。
例:フリースクールやオンライン学習、家庭学習(特定条件下)などが該当
活動内容が学校側で確認・承認される必要がある
3. 主な違い
「出席」は学校内での活動を指すのに対し、「出席扱い」は学校外での学習や活動を学校が認めた場合に適用されるものです。
不登校のお子さんにとって「出席扱い」制度は、学校に通えない期間中でも出席日数を確保し、進級や進学に役立つ重要な制度です。
Q2:出席扱い制度を利用する場合の内申点はどうなる?
出席扱い制度を利用した場合でも、内申点の評価に影響する可能性があります。
具体的な影響は自治体や学校によって異なりますが、一般的なポイントを紹介します。
1. 出席日数と内申点の関係
内申点は通常、出席日数・成績・生活態度などを総合的に評価して決まります。
出席扱い制度によって確保された出席日数は、学校に通った日数として扱われるため、欠席日数が減少し、内申点の「出席日数」の部分に有利に働くことが多いです。
2. 学習内容の理解度や成績評価
出席扱い制度でフリースクールやオンライン学習を利用した場合でも、学校の先生は成績評価に重点を置くため、定期テストや課題の結果が内申点の大部分を占めます。
出席扱い制度を利用するだけではなく、学習進度に遅れが出ないようにすることが重要です。
3. 生活態度の評価
出席扱い制度を利用している場合、学校生活に直接参加していないため、生活態度の評価が難しい場合があります。
この場合、フリースクールやオンライン学習先での活動内容や態度の報告が参考にされることがあります。
4. 出席扱い制度の利用が記載される可能性
内申点を記載する調査票の備考欄や特記事項に、「フリースクールを利用し、出席扱いとして認定」などの説明が加えられる場合があります。
学校側が「通常とは異なる方法で出席日数を確保した」ことを明記することで、公平性を保つ意図があります。
ただし、学校や教育委員会によっては、出席扱いの日数がそのまま通常の出席日数としてカウントされ、特別に記載されない場合もあります。
5. 不利にならないためのポイント
出席扱い制度を利用する場合は、事前に学校と密に連絡を取り、制度利用中の学習進度や活動内容を学校に報告しましょう。
また、フリースクールやオンライン学習の成果を示す補足資料や証明書を用意すると、内申点への反映がスムーズになります。
Q3:出席扱いは、校長先生が許可する?
出席扱い制度の利用には校長先生の許可が必要です。
出席扱い制度は、文部科学省が認める正規の仕組みですが、最終的な判断と承認は学校(校長)の裁量に委ねられています。
校長先生の役割
児童生徒が出席扱い制度を利用する際、校長先生は利用条件が満たされているかを確認し、正式に許可を出します。
フリースクールやオンライン学習を出席扱いとする場合、それが適切な学習活動と認められるかを校長先生が判断します。
たとえば、学習内容が学校の教育方針に沿っているか、必要な連絡体制が整っているかが重視されます。
校長先生が認定を行う前に、教育委員会と協議する場合もあります。
校長先生の許可を得るためのポイント
文部科学省のガイドラインで定められた要件(適切な学習施設の利用、一定時間以上の活動など)を満たしていることが重要です。
また、フリースクールやオンライン学習の利用証明書や活動記録を提出する必要があります。
どのような学習や活動が行われているのか、学校側に具体的に説明できる資料が求められます。
校長先生が出席扱い制度を許可する際、家庭と学校の間に信頼関係が築けていることが重要です。
普段から学校との連携を密にし、お子さんの状況を共有しておくことが大切です。
許可が得られない場合は?
許可が得られない場合、まずは学校に理由を確認しましょう。
その上で、教育委員会に相談したり、制度に詳しい専門機関にアドバイスを求めることも選択肢です。
Q4:高校でも出席扱い制度はある?
高校にも出席扱い制度はありますが、適用条件や対応が学校ごとに異なる場合があり、より個別的な対応が求められます。
高校生にも適用される出席扱い制度は、文部科学省の方針に基づいて設けられています。
フリースクールやオンライン学習、家庭学習などの活動が条件を満たせば、出席として認められる場合があります。
高校でも中学校と同様に、最終的な出席扱いの認定は校長先生が行います。
ただし、高校ではより自主性が求められるため、活動内容や学習成果の証明が必要となる場合が多いです。
全日制・定時制・通信制の違い
全日制高校:フリースクールやオンライン学習が出席扱いとなるケースがありますが、認定条件が厳しい場合もあります。
定時制高校:より柔軟な出席認定が行われる場合があり、不登校生にとって利用しやすい制度が整備されていることも多いです。
通信制高校:元々出席日数の概念が緩やかであり、個別に学習計画を立てるため、出席扱い制度を利用する必要が少ないこともあります。
高校で出席扱い制度を利用するメリット
・進級、卒業に必要な出席日数を確保できる
・自分に合った学習方法で高校生活を継続可能
・心理的な負担が軽減される
出席扱い制度を利用するための手順
①学校との相談
担任の先生や進路指導担当、スクールカウンセラーなどに相談して、制度の適用可能性を確認。
②学習内容の提案
フリースクールやオンライン学習など、出席扱いに適した活動を学校に提案。
③書類提出
活動の証明書や学習計画書を学校に提出。
④校長先生の許可
提出した資料をもとに、校長先生が最終判断を行う。
注意点
学校ごとのルールに差があるため、注意が必要です。
高校では制度運用が学校独自の方針に委ねられる部分が多く、中学校より条件が厳しいこともあります。
高校入試時の対応にも注意が必要です。
出席扱い制度を利用しても、進学する高校がそれをどのように評価するかは異なるため、進学希望先との確認が必要です。
Q5:放課後登校は出席扱いになる?
放課後登校が出席扱いになるかどうかは、学校の方針や校長先生の判断によります。
文部科学省のガイドラインでは、一定の条件を満たす場合に出席扱いと認められるとされています。
放課後登校が出席扱いとして認められるためには、学校側がその活動を「教育活動の一環」として認める必要があります。
放課後に学校で行った学習活動が、授業や補習の代替となる場合には出席扱いとなる可能性があります。
たとえば、担任や教科担当の先生が個別指導や学習フォローを実施する場合、出席日数にカウントされやすいです。
しかし、学校や地域によって運用方法が異なるため、放課後登校を出席扱いとする基準には差があります。
自由登校や特別な学習活動を行わない場合は、出席として認められないこともあります。
出席扱いを申請する際には、活動内容や学習成果を記録・報告する必要があります。
放課後登校を計画する場合、事前に担任の先生や学校側と相談して、出席扱いになる条件を確認することが重要です。
Q6:指導要録上の出席扱いとは?
指導要録は、児童・生徒の学習状況や生活状況を記録する重要な公文書です。
この記録の中で「出席扱い」とされる場合、実際に学校へ通った日だけでなく、一定の条件を満たした特定の活動も出席日数として記載されます。
不登校の児童・生徒が、教育支援センターやフリースクール、オンライン学習で学習支援や生活支援を受けた場合、指導要録にはその利用が出席として記録されます。
指導要録上の「出席扱い」とは、学校に通う以外の学習活動や支援活動が出席日数として認められる制度です。不登校のお子さんが学習を継続しながら進学を目指す際の重要なサポート手段として活用されています。