「学校に行きたくないと言い出した」
「教室の環境に馴染めないようで不安」
発達障害のあるお子さんを育てている保護者の方の中には、こんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
発達障害の特性は一人ひとり異なり、集団生活に難しさを感じたり、周囲との関わりにストレスを感じたりするお子さんも少なくありません。そんな中、「フリースクール」という選択肢が注目を集めています。
フリースクールは、画一的な学習スタイルではなく、お子さんの個性やペースに合わせた柔軟な学び方を提供する場です。特に発達障害のあるお子さんにとっては、自分らしく過ごせる“安心できる居場所”となることもあります。
しかし、「うちの子に合うフリースクールってどこ?」「そもそもフリースクールって何?」「義務教育との関係は?」など、疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、
■発達障害のお子さんにおすすめのフリースクール
■フリースクールの基本的な特徴や、通常の学校との違い
■年齢別に通える時期や、出席扱いの条件
■フリースクールの選び方や、見学時のチェックポイント
などを、実際の保護者の声も交えながらわかりやすく解説します。
「自分の子に合う場所を見つけたい」「安心して過ごせる学びの場を知りたい」と思っている保護者に向けて、信頼できる情報を丁寧にお届けします。お子さんの未来への一歩を、一緒に考えていきましょう。
発達障害のお子さんにおすすめのフリースクール
「どんなフリースクールなら、うちの子に合うのだろう?」「近くに発達障害に対応してくれるスクールはあるの?」
そんな疑問を持つ保護者の方のために、発達障害のお子さんを受け入れている全国のおすすめフリースクールを地域別に紹介します。
東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県といった首都圏だけでなく、大阪・福岡といった主要都市もカバーしています。お子さんに合うフリースクールを選ぶ際の参考にしてみてください。
東京でおすすめのフリースクール
コロロ発達療育センター(西荻窪)
対象:小1〜高3、発達障害専門
スタッフ数:職員17名、定員39名
特徴:「無発語から個別発語プログラム」や身体づくり・動きづくりプログラムを実施
学費:要問い合わせ
口コミ:「文字を使ったプログラムで発語を促す」と評価
東京未来大学みらいフリースクール
対象:小4〜中3、発達障害クラス併設
学費:入学金5万円、月額スタンダード72,000円、1DAY34,000円など
特徴:自由な学びの場、PC持ち込み可。勉強以外にもスポッチャ・遊園地など交流の機会あり
口コミ:「教室長の根気ある支援で、中2で友達と遊園地へ行けるようになった」
神奈川でおすすめのフリースクール
NPO法人楠の木学園(横浜)
対象:中学生〜、発達障害・不登校対応
特徴:和太鼓、製菓、演劇など体験重視のカリキュラム
学費:要問い合わせ
口コミ:個性に合わせた丁寧な教育体制が好評
YUME School 川崎ラ チッタデッラ校
対象:小〜高校生、すべての生徒
特徴:商業施設内で、学び直し支援や個別学習、週1〜5コース
学費:月額30,000円(週1)〜55,000円(週5)
口コミ:「在籍校出席日数に換算される」「安心できる居場所が提供される」と保護者に好評
学び方教室BB(神奈川全域)
対象:発達障害・不登校のお子さん
特徴:面談・アンケートで個別理解、体験入会制度で事前検証可能
学費:要問い合わせ
埼玉でおすすめのフリースクール
フリースクールリエゾン(さいたま市)
対象:小・中学生、発達障害対応
特徴:脳科学ベース、心理士やカウンセラー常駐、英会話・運動含む週1スクーリング
学費:要問い合わせ
アソマナ学園フリースクール(さいたま市)
対象:小〜高校生、不登校・発達障害
特徴:無学年方式、学力に応じてさかのぼり・先取り可能。出席日数として扱い、進学にも配慮
学費:要問い合わせ
学研WILL学園埼玉キャンパス
対象:不登校・学習障害・起立性調節障害など
特徴:無学年・フリースクール&サポート校。柔軟な学びが可能
千葉でおすすめのフリースクール
興学社フリースクール(松戸市)
対象:小学校高学年〜中3
特徴:JFSA認定、職員18名、スクール規模が大きく安心感あり
大阪・福岡でおすすめのフリースクール
大阪:鹿の子クラブ 東大阪(小〜高校生)
福岡:さくらフリースクール(久留米市、高校生対象)
発達障害のお子さんにとっての「フリースクール」とは?
「フリースクール」という言葉を耳にしたことがあっても、「どんな場所?」「発達障害の子どもに本当に合うの?」と疑問に感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
ここでは、フリースクールの基本的な定義から、通常の学校との違い、さらに発達障害のお子さんにとってのメリット・デメリットまで解説します。
フリースクールの定義と一般的な特徴
フリースクールとは、学校に行けない・行かないお子さんたちのために、民間が運営している「もう一つの学びの場」です。明確な法的定義はなく、運営形態やカリキュラム、支援内容はスクールによって異なりますが、共通して以下のような特徴があります。
お子さんのペースを尊重した学び
時間割やカリキュラムが固定されていないことが多く、興味関心に応じた活動が可能です。
少人数・個別対応中心
集団での行動が苦手なお子さんでも安心して参加しやすい環境です。
人間関係のストレスが少ない
登校の強制がないため、自分に合った関係性を築ける傾向があります。
安心できる居場所としての役割
「学校に行けない」ことを否定されない、安心できる空間として機能します。
通常の学校との違い(学び方・人間関係・個別対応など)
発達障害のあるお子さんにとって、通常の学校生活はさまざまなハードルがあります。以下は、一般的な学校とフリースクールの違いです。
項目 | 通常の学校 | フリースクール |
学び方 | 教科ごとの一斉授業 | 興味に合わせた個別学習や体験型活動 |
時間割 | 毎日決まったスケジュール | 自由な登校時間活動内容を自分で選べる |
人間関係 | クラス内での集団行動が中心 | 少人数・個別関係が中心対人ストレスが少ない |
指導方法 | 学年別・一律の進度 | お子さんの特性に応じた柔軟な対応 |
支援体制 | 支援学級や通級がある場合もあるが限界あり | 発達障害に理解あるスタッフや支援者がいることも多い |
発達障害のお子さんにとってのメリット
自分のペースで過ごせる
感覚過敏や過集中などの特性を持つお子さんでも、無理せず安心して過ごせます。
成功体験が得やすい
他のお子さんと比べられずに、自分に合った活動で達成感を味わえます。
自己肯定感の回復
「できない自分」から「自分なりにやれる自分」へと気持ちが変化するお子さんもいます。
保護者の心の負担が軽くなる
お子さんの居場所ができることで、家庭内の緊張感が和らぐケースも多く見られます。
発達障害のお子さんにとってのデメリット
一方で、すべての発達障害のお子さんにフリースクールが合うとは限りません。以下のような点に注意が必要です。
構造化された環境が苦手なお子さんには不向きな場合も
自由度が高すぎて不安定になりやすいお子さんや、明確なルールがないと混乱しやすいタイプのお子さんには向かないことがあります。
支援体制がスクールごとに大きく異なる
発達障害に対する理解や支援スキルがスタッフによって異なるため、スクール選びは慎重に行う必要があります。
学力保証や進路支援が弱い場合もある
進学を見据える場合には、補習的な学習支援が不十分なこともあります。
公的支援が受けにくいこともある
民間運営のため、通学に関して出席扱いとならない場合や、補助金が利用できないケースもあります。
フリースクールに通えるのは「いつから」?
「今の学校に行けないけれど、フリースクールに入れるのはいつから?」「うちの子の年齢でも通える?」
そんな疑問を持つ保護者の方のために、年齢別にフリースクールの特徴や通い始めるタイミングの目安を解説します。
年齢別に合ったフリースクールの特徴
フリースクールの対象年齢は、スクールによって異なります。多くは小中学生を対象としていますが、最近では幼児や高校生も受け入れているスクールが増えてきています。
年齢層 | 特徴 |
幼児(3〜6歳) | ・遊びや体験中心のカリキュラムが多い・療育との併用が可能なケースも・受け入れは少ないが、少人数で手厚い支援がある施設も |
小学生 | ・発達段階や学年に応じた柔軟な支援が可能・安心できる居場所として利用されることが多い・家庭との連携が重要 |
中学生 | ・不登校のピークとなる時期・進路や高校受験に向けた学習サポートがあるフリースクールも・自立や社会性を育てる活動も重視される |
高校生 | ・通信制高校との連携で、卒業資格を得るサポートあり・将来を見据えた職業体験や進学準備を行うスクールも増加中 |
学校に通えなくなったタイミングや入学時期の目安
フリースクールは、決まった入学時期がないところがほとんどです。基本的には「いつでも受け入れ可能」であり、お子さんの状態や家庭の準備が整ったタイミングで入会することができます。
■学校に行けなくなった直後
■家庭での生活が安定してきたとき
■療育や通級指導だけでは対応が難しいと感じたとき
などが、通い始める目安とされています。最初は週1回の参加から始めるなど、無理のないペースで慣れていくことも可能です。
フリースクールは義務教育の「代わり」になるの?
フリースクールに通わせるうえで気になるのが、「それって義務教育の代わりになるの?」「出席扱いになるの?」という点です。
ここでは、フリースクールと義務教育の関係、出席扱いの条件、併用の可否などについて解説します。
義務教育の履行とフリースクール利用の関係
結論から言うと、フリースクールに通うこと=義務教育を履行していると一概には言えません。ただし、一定の条件を満たすことで、「学校に出席したもの」として扱われる可能性があります。
【出席扱いとなる主な条件】(※文部科学省「出席扱い通知」より)
■フリースクールでの学習内容が、学校教育に準ずると判断されること
■在籍校の校長が「指導要録」に記録することに同意していること
■学校とフリースクールとの連携・報告体制があること
■保護者が学校に定期的に状況報告をしていること
※フリースクールが正式な「教育機関」ではないため、あくまで学校側の判断により出席扱いになるかどうかが決まります。
「公立学校と併用できますか?」「療育と併用できる?」
併用は可能です。
以下のように、お子さんの状態や家庭の希望に応じて複数のサポートを組み合わせるケースはよくあります。
公立学校+フリースクールの併用
→ 登校できる日は学校へ、難しい日はフリースクールへ。心の安定を優先する対応。
療育施設+フリースクールの併用
→ 午前中は療育、午後はフリースクールなど、生活リズムに合わせた利用が可能。
家庭教育+フリースクール
→ 自宅学習とフリースクールを並行しながら、お子さんの興味やエネルギーに合わせる形。
ただし、併用を希望する場合は、それぞれの施設に目的を明確に伝え、スケジュールや支援の重なりを調整することが重要です。
通信制高校・在宅学習との違い
中学生や高校生になると、「通信制高校」や「在宅学習」との違いが気になる方も多いでしょう。それぞれの特徴を比較してみます。
学びの形 | 特徴 | 対象 | 違い |
フリースクール | 民間の居場所型支援、学習+生活支援 | 小〜高まで幅広い | 社会性や安心感を重視、学籍は別に必要 |
通信制高校 | 高校卒業資格を得るための正式な学校 | 高校生 | 高校として認可、単位制。学習中心、フリースクールと提携する場合も |
在宅学習(ホームスクーリング) | 自宅で保護者や家庭教師と学ぶ | 幼児〜高校まで | 自由度は高いが、社会的交流や制度的課題も |
知的障害・発達障害の子に合ったフリースクールの選び方
「発達障害」「知的障害」と一口に言っても、お子さんの特性や困りごとは一人ひとり異なります。フリースクールを選ぶ際には、それぞれの障害特性に合った支援体制が整っているかをしっかり確認することが大切です。
「知的障害」と「発達障害」それぞれで重視すべき視点
観点 | 発達障害(ASD・ADHDなど) | 知的障害 |
学習支援 | 興味や集中力に配慮した個別カリキュラム | わかりやすく視覚的に示された教材、生活スキルの習得支援 |
コミュニケーション | ソーシャルスキルや感情調整の支援 | ゆっくりとしたペースでの言葉かけ、非言語コミュニケーションへの配慮 |
集団活動 | 少人数・自由度の高い環境が望ましい | グループ活動の頻度・負担の調整が必要な場合あり |
サポート体制 | カウンセラーや特別支援経験者の有無 | 療育や福祉的サポートと連携しているかが重要 |
チェックすべきポイント:個別支援計画や療育要素の有無
フリースクールごとに支援内容は大きく異なります。見学や体験の際には、以下の点を確認しておくとよいでしょう。
個別支援計画(IEP)があるか
→ お子さん一人ひとりの特性や目標に応じたサポート計画が作られているか
療育の視点を取り入れた支援があるか
→ 作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)など、専門職との連携体制があるか
スタッフの対応経験・資格
→ 発達障害や知的障害についての理解があるスタッフが常駐しているか
保護者との情報共有体制
→ 日々の様子を丁寧に伝えてくれるか、家庭との連携を重視しているか
見学・体験時に保護者が確認すべきこと
実際に施設を訪れる際には、お子さんの反応はもちろん、保護者自身が「安心して任せられるか」という視点も大切です。以下のポイントをチェックしてみましょう。
■お子さんが落ち着ける雰囲気か(音、光、スペース)
■無理に活動を強制せず、ペースを尊重してくれるか
■休憩の仕方や支援の方法が柔軟か
■相談や質問に丁寧に応じてくれるか
「ここなら大丈夫かもしれない」と親子で感じられることが、第一歩になります。
【まとめ】お子さんにとって「安心して学べる場所」を選ぶために
フリースクールは、発達障害や知的障害のあるお子さんにとって、「自分のペースで」「安心して」学べる貴重な選択肢のひとつです。
ただし、すべてのお子さんに必ず合うとは限らず、相性や支援体制の違いによって「向き・不向き」があるのも事実です。
フリースクール選びで大切なのは…
■お子さんの困りごと・得意なことを正しく理解すること
■保護者も一緒に見学・体験して納得できる場所を選ぶこと
■支援者や学校と情報共有しながら無理なく進めること
まずは「一歩」から始めてみましょう。
最初から週5日通う必要はありません。週1日、午前中だけ、お話を聞くだけでも構いません。お子さんやご家族のペースを大切にしながら、「合う場所」との出会いを焦らず探していきましょう。
更新日:2025/6/25