「なぜか学校に行けない」子どもが親に分かってもらいたい気持ちを解説。

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目次

不登校とは、「学校に行かなくなってから1年で30日以上の欠席をしている」状態と文部科学省が定義しています。これは連続で学校を休んでいるかではなく、年間の欠席日数を数えて不登校の判断をしていることを意味しています。
(参考)文部科学省|不登校の現状に関する認識

理由は様々ですが、お子さんがこのような状態になってしまうと保護者としては、大変心配になるでしょう。この時、不登校になったお子さんの状況を把握しようと根掘り・葉掘り聞いてしまいそうになるものです。

しかし、この場合にお子さんが自分で学校に行けない理由を教えてくれる場合とそうでない場合があります。

学校に行けない明確な理由がない場合には、我が子を思う気持ちからいろいろと聞いてしまうことで、保護者の想いとは裏腹にお子さんにはかえってストレスを与えてしまうことも少なくありません。

この記事では、そんなお子さんと正しく接し、お子さん自身が学校に行きたくない理由を自覚し、自分のやりたいことや自分に合った過ごし方を見つけるまでのステップを解説します。

本人も不登校の原因がわからないことがある

学校に行けなくなってしまうお子さんの理由は本当に様々です。ゆえに、原因を特定するのは大変難しいことです。

具体的な理由があれば解決の方法も明確であるものの、中には理由がわからないお子さんもいます。

統計による最近の不登校の主な理由

令和3年度の文部科学省のデータによると全国の不登校児(小・中学校の不登校児童)は、およそ25万人いると報告されています。これは、在籍児童の2.6%にあたります。また、不登校になった原因として最も多かった理由が”無気力・不安”であり、全体の約50%を占めています。

とはいえ、各成長段階でこの”無気力・不安”への認識の鮮明度はさまざまであり、一括りに”無気力・不安”と言ってもそれぞれの子に合った対応を必要としています。

先ほど述べたように、各成長段階や家庭・学校環境によって一概に理由を定めることはできません。しかしながら、一つ明確なこととして、我が子の気持ちが学校に向いていない事実があります。

これに関しては、やはり学校がストレスとなっていると言わざるを得ません。では、このストレスはどのように取り除いてあげることができるでしょうか。

何事もそうですが、まずはストレスの原因となっている事象から距離を置くことが一つの大きな手段と言えます。「学校に行かない」という選択です。その場合、”普通”とは違うという心的感情が本人にじわじわと寄ってくることでしょう。

次章ではこの心的感情との付き合い方について解説していきます。

「学校に行けない理由がわからない。」一番つらいのはお子さん自身。

「なぜか分からないけれど学校に行けない」ことに一番不安を感じているのは、お子さん自身です。得体のしれない自分の中のネガティブな気持ちがいつまで続くのか、将来はどうなってしまうのか、答えの出ない悩みを抱えています。

保護者にできるサポート方法として、「家庭」という環境がお子さんにとっての”ホームグラウンド”であることを確立してあげることが効果的です。

理由が分からなくても学校を休んでいい

本人にも学校に行けない理由が分からないことがあります。まずはストレスとなっていることから離れてみる勇気を持ってみましょう。ストレスの原因が”学校”であるのであれば、”学校を休む”という判断も重要なことです。

お子さんの気持ちとしては、”学校に行けないこと”に対しても不安や心配からストレスを感じてしまうことになるかもしれません。その際、考え方を”学校に行けない”のではなく、”学校に行かない”という思考に変えてあげることで心の重石が軽くなるでしょう。

なかなか勇気のいることだと思いますが、思い切ってこの判断をしてみましょう。ストレスを感じる環境から遠ざかってみることで、少しずつお子さんの気持ちに変化が現れることが期待できます。

そうすると、ご家庭でも必然的にお子さん発信の話が増えてきて、徐々にお子さんの悩みを知るキッカケが生まれてきます。

学校に行けない期間のお子さんのメンタルヘルス

お子さんのメンタルヘルスに関する考え方は、大人に対する考え方と異なります。
大人のメンタルヘルスの大部分は、環境的要因に起因することが多く、職場の人間関係や情報化社会による情報多寡といった環境的負荷が大きくのしかかっているようです。

一方で、子どものメンタルヘルスは成長と共に変化するものであるため、気持ちが不安定な状態が多いのです。また、大人のように”なぜなのか”を具体的かつ明確に把握し、周囲の人に伝えることは難しいのです。

なので、お子さんのメンタルの状態について、お子さん自身も理解できていないもやもやを否定せず、受け止めてあげることを大切に考えましょう。お子さん発信の情報が増える環境づくりというのは、お子さんが感じていることをダイレクトにキャッチできる直接的な方法なのです。

お子さんの成長過程における不安定な心の状態について、無理に状態や原因を解明しようとするのではなく、「今どんな気持ちで、どうしたいか」というお子さんのを肯定してあげることを心がけましょう。

お子さん自身が自分の気持ちと向き合うためのアプローチ

お子さん自身が「自分は何が嫌で学校に行かないのか」「どのように過ごしたいと感じているか」「何をしたい、どうなりたい」という自分の気持ちを自認することができれば、この不安はぐっと小さくなり、前向きな様々な活動に取り組むことができます。

このようにお子さんが自分自身の気持ちと向き合い、前向きになれるための手法をご紹介します。

コーチング手法

近年、”コーチング理論”というものが注目されています。”コーチング”と聞くとスポーツ場面だけを想像してしまうものですが、今やご家庭での教育も含め重要な考え方となってきています。

”コーチング理論”の本質は「答えはその人の中にある」というもので、お子さん自身が「答えを創り出す」サポートをすることが目的です。

この”コーチング”を活用することで、お子さんの自己理解を助け、自分の気持ちに向き合うためのサポートができます。

お子さんが自分の気持ちに気づけるようにサポートする

お子さんが自分の気持ちを理解するには、お子さん自身が自分のことを良く知る必要があります。そこで保護者に意識していただきたいことは、お子さんが自分の気持ちをしっかりと表現できるように問いかけて、聴いてあげることです。

こんな時、「いつも学校でなにしてるの?」「何の勉強をしている時が楽しいの?」などのオープンクエスチョンが絶大な効果を発揮します。堅苦しい考え方ではありますが、5W1Hを意識してみるとお子さんから情報を引き出しやすいと思います。会話とはどこまでいってもキャッチボールです。

このキャッチボールの中から、お子さんのプラスな面もマイナスな面も見られることと思います。どちらもお子さんの”個性”ですので、お子さん自身が自己理解を深めるヒントとして活用することができます。

まずはお子さんの表情や声色などを感じながら、しっかりと話を聴いてあげましょう。

お子さんに気づきを与える投げかけ

お子さんの話を聴いていると、保護者の方も知らなかった側面が見えることもあるでしょう。

例えば、学校のテストで良い点数を取ることがその子の言動力になっている場合があります。この子は学校での勉強が難しくなってくると、次第に授業やテストでつまづいてしまい、結果として学校に行きたくなくなってしまうことがあります。そこには、良い点数を取れるかわからないという漠然とした不安や、勉強について行けていないと思う自分が存在しているのです。

そんな時に「目標点数を少し下げてみたらどう?」「点数も大切だけど、勉強が好きなことの方がもっと大切だよ」と保護者から伝えてあげることでその子が想い悩んでいることに”気づき”を与えてあげることができます。

お子さんの話を聴いてあげていると、お子さんが抱いている気持ちに向き合えるようなヒントを伝えてあげることができると思います。

これは、日頃から一緒にいる保護者の方だけでなく、専門のカウンセラーやコーチング資格を持つ人も得意とする手法です。家庭内だけでは難しいと感じる場合は、そういったスキルを持つ外部の人に頼ってみましょう。

お子さんの気持ちを閉ざしてしまうコミュニケーションには気をつける

最後に、保護者に気をつけてほしいことを2つだけお伝えしたいと思います。

1つ目は、無理に理由を聞かないことです。言いやすいことや、言いたいことは自ずと教えてくれるものです。心配する気持ちから理由を知りたいと思う気持ちはよくわかりますが、少し聞いてみてお子さんが教えてくれない場合には、理由がわからない・言いたくない理由があるなど相応の事情を考慮してあげてください。

2つ目は、問い詰めないことです。これは1つ目のこととも通じるものがありますが、保護者のお子さんの気持ちを理解してあげたいという思いが悪い方向に働いてしまいます。

問い詰めるのではなく、お子さんが自分から情報を発信できるように環境を整えてあげることを意識してあげてほしいと思います。大切なお子さんが不登校になってしまうと、保護者にとっても精神的にキツいことと理解していますが、根気強く頑張っていただければと思います。

困ったことがあれば、まずは外部の専門家など、誰かに話を聞いてもらうことを心がけてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?お子さんが学校に行きたがらない、学校を休みがちになったなど保護者にとってはなかなか心配なことだと思います。

一方で、お子さん自身も学校に行けないことで不安に感じている場合もあります。そんなとき、学校に行かないという判断も一つの正しい判断だと知っていることで、気持ちが前向きになったり、学校以外の場所で活動できることがあるかもしれません。

不登校は、一時的な心の休息期間です。学校に行かない期間を有効に活用することで、親子でしっかりと時間を使って向き合うことができると思います。お子さんの状況をきちんと理解してあげて、その時々で適切なアクションを起こせるようにしておきましょう。

出典一覧

1.文部科学省|不登校の現状に関する認識
2.文部科学省教職員のための子どもの健康観察の方法と問題への対応
3.一般社団法人コーチング連盟|コーチングとは

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