不登校の親がプレッシャーや心の疲れと上手く付き合う方法をご紹介します。

近年、不登校の児童生徒数は増加を続けています。お子さんが不登校になったとき、親は自分の育て方を後悔するなど、自責的になる、または他罰的になるなど、情緒的に混乱してしまうことがあるかもしれません。 そして、お子さんの不登校状態が続き、それに対して心配や情緒的な混乱が続いた場合、保護者の方が疲弊してしまう可能性もあるでしょう。今回の記事では、不登校に対する考え方から、親としてできる対応などについて解説していきます。

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目次

近年、不登校の児童生徒数は増加を続けています。

文部科学省の調査によれば、令和3年度における小中学校の不登校の児童生徒数は、過去最多の24万4,940人にのぼるという結果が出されました。

その中でも高校の不登校の生徒数は5万985人で、前年度と比べ7,934人増加しています。

お子さんが不登校になったとき、親は自分の育て方を後悔するなど、自責的になる、または他罰的になるなど、情緒的に混乱してしまうことがあるかもしれません。

そして、お子さんの不登校状態が続き、それに対して心配や情緒的な混乱が続いた場合、保護者の方が疲弊してしまう可能性もあるでしょう。

不登校は親の責任ではない

大前提として、不登校は問題行動や親の責任ではありません。不登校は様々な要因が複雑に絡み合って起きている、一時的な状態です。不登校と上手に向き合い解決へ向かうためには、保護者の方がきちんと不登校の原因を理解し、自分を責めず、適切に対応をしてあげることが大切です。
▶不登校の原因やタイプについて詳しく知りたい方はこちら

中には不登校の状態になることに関連する家庭の事情や保護者との関係もあるかとは思いますが、それだけが原因であるわけではなく、誰に責任があるというものではないのです。

そのため、保護者の方も責任を感じたりする必要は本来なく、お子さんと一緒に今後の将来を見据えて落ち着いて考えていくスタンスが大事といえるでしょう。

(*出典1)不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書 – 文部科学省

(*出典2)厚生労働省|ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン

今回の記事では、不登校に対する考え方から、親としてできる対応などについて解説していきます。

不登校で保護者のメンタルが疲れてしまったら?

不登校は問題行動ではないとはいえ、お子さんの将来や勉強について不安になることも多いと思います。

不登校について心配するなというのも無理がありますし、保護者だけで抱え込むことで疲弊してしまう複雑なものでもあります。

ですので、もしもお子さんに不登校・不登校傾向があるという場合には、不登校に対する考え方を変えることや、周囲を頼ることが重要です。

具体的な内容についてそれぞれ解説していきます。

辛いときは不登校に対する考え方を変えてみる

不登校の背景には様々な要因がありますので、一概に「不登校=問題行動」であると考える必要はありません

お子さんが不登校であったり、不登校傾向にある場合、まずは心身を休める時間だと考え、自宅にいることを受容することが重要です。自宅にいることが意味するのは、安心の回復です。避難と言い換えてもいいかもしれません。

まずは、お子さんが安心な状態にあることの確保が最初の段階です。お子さんにとって家庭が安心していられる場所だと認識できることは大切なことなので、そこを意識すると保護者も情緒的に落ち着くことができるかもしれません。

繰り返しにはなりますが、不登校は問題行動として捉えることや、絶対に改善すべき悪しき事態と捉える必要はありません。問題行動であると考えること自体が、焦りを生み、なかなか変わらない現状に対してイライラしたり不安になったり、疲弊しやすくもなってしまうように思います。

そういった状況になってしまっている方は、まずは不登校の認識自体との向き合い方から見つめ直してもいいかと思います。

お子さんへの対応について

お子さんにとって不登校の状態は、心身を休めたり、身を守るための時間を意味することがあります。保護者の方としても、学校に行かないことによる勉強の遅れや将来など不安なことは少なからずあるかとは思います。そういったことついて考える必要がないわけではありません。

いずれは考えるタイミングは来るかと思いますが、段階があります。まずはお子さんの心身を休め、守ることを第一に、自宅や家庭を安心して過ごせる場所としていくのが肝心です。

お子さんの行動を変えようと躍起になるよりも、受け入れることで保護者も楽になる場合があります。そして、お子さんの安心が回復されると、少しずつ余裕が回復していきます。

今後について考える余裕が出てきた際に、きちんと話し合うことができて、双方が納得した上で最適な方法を選んでいけるようにしたいところです。そのためにも、日頃からお子さんとのコミュニケーションがいい形で持てるようにお子さんに寄り添っていくことも意識しておくといいでしょう。

お子さんとのコミュニケーションは、休んでいる間も今までと少し違う関わり方を考えてみても良いかと思います。お子さんへの対応については、不登校のタイプ別に見てみると考えやすいかもしれません。

より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
不登校のお子さんの為に親ができる対応とは?

まずは学校に相談する

お子さんが不登校の状態であったり、または不登校かもしれないと思った場合、まずは学校に相談してみましょう。

学校に相談することで、家庭では見えない学校での過ごし方や交友関係、勉強の進捗など、不登校の背景やきっかけについて何かヒントになるようなことがわかるかもしれません。文部科学省でも不登校傾向が見られる場合において、学校に連絡を取ることを奨励しています。

原因が特定できるとそれに合わせた対応も考えることができます。

それにより「出やすい授業から出てみる」「保健室で勉強する」「休み時間には普段遊んでいる友人と学校で話してみる」など、学校においてお子さんの希望に沿う形の対応を取ることが可能になるかもしれません。

他にも、各学校にはスクールカウンセラーが配属されていますので、相談してみるのもいいでしょう。スクールカウンセラーは心理の専門家で、臨床心理や精神医学の実践経験を積んでいます。特に、そのお子さんの不登校の状態の背景を見立てながら、今後の関わりについて一緒に検討をしていくことも可能かと思います。

スクールカウンセラーに相談をしても「様子を見ましょう」ということしか言われないという声を聞くこともありますが、お子さんにとって「様子を見る」が意味することも変わってきます。もし、様子を見ましょうと言われたら、そのお子さんにとって様子を見るということは、具体的にはどうすることなのかを、相談してみるのも良いかと思います。

また、心理の専門知識により、スクールカウンセラーはお子さんだけでなく、保護者の悩みについても相談することが可能です。

不登校に関する認識も広がってきており、先述の通り不登校は問題行動ではないという認識を持っている保護者の方も増えてきています。しかし、「学校に行くって言ったのに、朝になると布団から出ようとしない子どもを見ていると、イライラするし、悲しくもなるし、そんな自分にも嫌気がさす」という想いを抱えている保護者の方もいるのではないかと思います。お子さん自身も、学校に行くと言った気持ちは嘘ではないかもしれませんし、とはいえ朝になるとお腹が痛くなったり、気持ちが向かなくなってしまうこともあります。

保護者としてもそんなことは頭ではわかっていても、感情が頭の理解に追いつかないこともあるかと思いますし、そうした想いを「思ってはいけないもの」として、押さえ込んでいる保護者の方も少なくないように思います。しかし、それが続くと、どこかで爆発してしまうこともあるわけです。

そういう保護者の正直な気持ちなどは、なかなか外に吐き出せなかったり、場合によっては夫婦間や自身の親との間でも意見が食い違うこともあります。そういう板挟みになってしまう気持ちを誰かに打ち明けるだけでも、情緒的な疲れが軽くなることもあります。解決の手段を探していくことも重要ですが、そうした気持ちの整理についても、よければ相談してみることを選択肢に入れておいてみてください。

民間機関へ相談してみる

不登校について相談する先として、民間機関も候補にあがります。学校などと切り離された第三者機関のため、学校に関連する機関では言いにくいことも話しやすかったり、お子さんも心を開きやすかったり、保護者も悩みを打ち明けやすいといったこともあるかもしれません。

また、不登校に対して知見のある民間機関の場合、過去の実践に基づいた専門知識を提供してくれることもあります。

お子さんが不登校の場合に利用できる機関をいくつかご紹介します。

◆教育支援センター(適応指導教室)

教育支援センターは、不登校支援を行っている公的機関です。

各都道府県・市町村に1,634カ所設置されており、不登校児童へのカウンセリングから、学習指導まで行っています。

また、保護者が悩みを相談することもできます。施設に直接赴かなくても、電話相談が可能なところもあるため、まずは近くの教育支援センターに連絡してみるといいかもしれません。

特に不登校の状態によって、学習のことが心配な場合もあることと思います。教育支援センター(適応指導教室)は機関によっての違いもありますが、自習できる環境が整っていたり、勉強を教えてくれる人が在中している場合もあります。学習する機会の一つとしても有用です。

また、学習への苦手意識が強いお子さんの場合は、勉強以外にも絵を描いたりものを作ったりするレクを中心に行うような場所もあります。お子さんの状態に応じて家庭以外との関わりを持つ場所として活用することも一つかと思います。

教育支援センター(適応指導教室)は、公的な機関であるので、学校の出席日数にカウントしてもらいやすいことや、民間の機関に比べると学校との連携が取りやすいところは特徴としてあるかと思います。

(*出典3)文部科学省|令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

◆フリースクール

フリースクールとは、学校に通えないお子さんに学習の場を提供している施設です。

基本的には学習サポートを行いますが、その他にも体験学習やイベントなどフリースクールによって異なるサポートを提供しています。

中にはオンラインのフリースクールもあり、そこでの学習が出席扱いと認められるものもあります。事情によって通学が難しい、しかし本人に進学の意欲があるといったケースで検討するといいでしょう。

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◆不登校生徒向けの塾

不登校のお子さんに向けて、学習サポートを行う塾も存在します。個別サポートを行う塾もあるため、人目が気になったり、自分のペースで学習したいというお子さんに向いています。

不登校の場合における進学などについての相談もしやすいため、勉強面で悩みの大きい保護者の方は一度相談してみるといいかもしれません。

【まとめ】保護者は自分自身のことも大切に

お子さんが不登校、または不登校傾向にある場合、どうしても保護者の方は心配してしまう面があるかと思います。その中で、お子さんの行動を変えようとしてしまうと、変わらない現状に対して疲弊したり、不安が募ってしまうこともあるでしょう。

まずは不登校は問題行動ではなく、心身を休めて身を守るための大事な時間と捉え、受容することで保護者の方も楽になる可能性があります。また保護者だけで悩みを抱え込まず、学校や第三者機関に相談してアドバイスを受けたり、悩みを共有するだけでも楽になることもあります。

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【出典一覧】

*1 不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書 – 文部科学省
参考箇所:冒頭

*2 厚生労働省|ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン
参考箇所:冒頭

*3 文部科学省|令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
参考箇所:教育支援センター

【監修者コメント】

「不登校 親 疲れた」と検索をしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。そのような保護者の方がお子さんの不登校に理解がないかというと、決してそうではないかとも思います。

記事の中にもありましたが「頭ではわかっているけど、どうしても感情がついてこなくて、つい怒鳴ったりしてしまって、その後で自己嫌悪に陥ってしまう」そんな経験をしたことがある方も少なくはないのではないでしょうか。

子どもは子どもなりにもがいているとわかりつつも、保護者にも自分の感情があります。不登校の背景はお子さんごとによって違いもありますので、絶対的に正しい解答が用意されているわけではないので、どうしたらいいかわからないと思うこともあるでしょう。

そうした際に、そのどうしたいいかわからない気持ちを一緒に抱えてくれる存在というのは心強いものではないかと思います。それは家族でもいいし、友人でもいいし、職場の気心の知れた方でも、担任やスクールカウンセラーでもいいでしょう。そういうともに抱えてくれる存在がないと、一人で抱えていくのはしんどいものです。

また、お子さんへの関わりに全ての時間や労力をかける方もいらっしゃいます。その心はとても心強いものですが、それがお子さんへのプレッシャーになってしまうことや、うまくいっていない時などに「あなたのために仕事を辞めたのに」とお子さんを責める考えが頭をよぎってしまうこともあるようです。

お子さんのために労力を注げることには頭が下がることも多いですが、ぜひご自身のために使う時間なども大事にしてあげてください。自分が美味しいと思うものをひっそりと食べてみたり、趣味を楽しむ時間を持つことなどです。保護者の方が楽しそうに過ごせていると、それに安心するお子さんも中にはいらっしゃいます。自分が不登校になったせいで、親が仕事を辞めたり、夫婦間のケンカが増えたり、しんどそうにしているのをみていることに心を痛めているお子さんも実際少なくはないように思います。

お子さんのための時間は大事にしつつも、自分自身を楽しめる時間を持つことが結果として、お子さんとの関わりに良い循環をもたらすことがあることも頭においておいていただけると心強いかと思います。

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