教育支援センター(適応指導教室)ってどんなところ?メリットやデメリット・フリースクールとの違いを徹底解説!

つぶやくつぶやくシェアするシェアするLINEで送るLINEで送る

目次

お子さんが「学校に行きたくない」と不登校になった家庭では、お子さん本人だけではなく、保護者の方も不登校の原因や対応に悩まれているケースが多くあります。

「勉強はどう進めていくべき?」

「友達や先生とのコミュニケーションの取り方に問題があったの?」

「学校にはいつ行けるの?」

上に挙げた疑問はごく一例で、お子さんや保護者の方の悩みや不安はそれぞれ異なります。不登校のお子さんをサポートする機関・施設はいくつかありますが、今回は、不登校のお子さんとその保護者・家族をサポートするための「教育支援センター(適応指導教室)」についてご紹介します。

教育支援センター(適応指導教室)とは

教育支援センター(適応指導教室)は、主に小・中学校を長期間休んでいるお子さんが、学校に通わなくても学習を進めたり、集団生活を学べる場所として、教育委員会等が運営する公的機関です。学校復帰や社会的自立のサポートをしています。一部高校生を受け入れているところもあります。

(*出典1) 教育支援センター

もともと「適応指導教室」という名称でしたが、2003年から「教育支援センター」と名称が変更されました。

文部科学省の定義によると、「教育支援センター」は

 「学校外に設置している施設、または、学校の余裕教室などを利用して校内に設置しているもので、児童生徒の在籍校と連携をとりつつ、個別カウンセリング、集団での活動、教科指導などを行うもので、教育相談室のような単に相談を行うだけの施設は含まない」

文部科学省|「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果

とされています。

令和元年5月に文科省から発表された「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」によると、全国に1142カ所、全自治体の63%が教育支援センターを設置しています。

(*出典2) 文部科学省|「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果

教育支援センターを簡潔に説明すると、学校への復帰や社会的自立のための支援を行う施設で、不登校のお子さんが学校の代わりに学習や集団生活を行う場所です。

お子さんへのサポートのみならず、不登校のお子さんを持つ保護者に向けたサポートも行っていることが特長です。

教育支援センターの活動は、センターによって少しずつ異なりますが、次にご紹介するものは一般的な活動内容です。

  • 学習支援
  • 集団生活におけるコミュニケーションの練習
  • 学校復帰に向けた環境適応の練習
  • カウンセリング(お子さん向け)
  • カウンセリング(保護者向け)
  • 不登校の子どもを持つ保護者同士の交流
  • 子どもの学校との連携

教育支援センターによって、重視されている活動や得意分野は異なっているため、通いたいと考えていらっしゃる方は、実際に通う教室を見学し、特徴を事前に把握しておくことがよいでしょう。

教育支援センターの役割は?

教育支援センターは、不登校のお子さんが学校への復帰や卒業後に上手く社会に順応できるよう、基礎学力の補充と集団生活への適応、そして心理面のケアなどを行います。

学習支援や集団生活におけるコミュニケーションの練習、学校復帰に向けた環境適応の練習、カウンセリング(お子さん向け)などの活動に取り組む中で、お子さんの学校復帰や社会復帰の機会を探っていくことができます。

教育支援センターに登録しているお子さんの傾向としては、不安など情緒的混乱で「学校に行きたくても行けないタイプ」、人間関係がうまく築けない「人間関係によるタイプ」が多くなっています。

(*出典2)文部科学省|「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果

不登校にはさまざまな背景があるため、教育支援センターの支援もお子さんに合わせた内容で、学校復帰に限らないそれぞれに合わせたサポートとなっています。

活動内容について、具体的にご紹介します。

学習支援

多くの教育支援センターで個別指導が行われています。決まったカリキュラムに沿って学習を進めるところと自習がメインのところがあり、教材は学校の教科書や持参した市販教材などが使用されます。

集団生活におけるコミュニケーションの練習

教育支援センターによって内容は異なりますが、小集団でスポーツやレクリエーション・創作活動・野外活動等を行い、仲間との触れ合いを通して自立心や社会性、集団への適応力を養う機会が設けられています。

カウンセリング

お子さん向けのカウンセリングを行っており、相談やカウンセリングが不登校の子どもたちのサポートに欠かせないものとなっています。

同時に、保護者の相談・カウンセリングも多くの施設で実施されています。施設によっては保護者会やグループカウンセリングがあり、不登校のお子さんを持つ保護者同士が悩みを相談できる場となっています。

子どもの学校との連携

教育支援センターは、お子さんの様子や支援の方向性、学習の進捗を学籍のある学校と連携しており、お子さんが学校に復帰したあとも在籍校と連携して継続的なサポートを実施していくことが役割の一つとなっています。

ほかにも、学校復帰を望むお子さんに対して、学校からの配布物や教材を届けてもらったり、行事案内の連絡をしてもらったりする場合もあります。

教育支援センター(適応指導教室)のメリット・デメリット

ここからは教育支援センターに通うメリット・デメリットについて解説していきます。

教育支援センター(適応指導教室)のメリット

適応指導教室に通うことには、以下の2つのメリットがあります。

・それぞれのペースに合わせて勉強できる
・費用がかからない

それぞれのメリットについて解説していきます。

<それぞれのペースに合わせて勉強できる>

教育支援センターでは基本的に好きなことをして過ごしますが、毎日学習の時間が確保されています。完全な自主学習の形式ではなく、指導員やボランティアに勉強を教えてもらえます。

指導員やボランティアは生徒一人ひとりのペースに合わせて指導してくれるため、勉強が苦手なお子さんにもおすすめです。

<費用がかからない>

費用がかからないのも魅力のひとつです。教育支援センターは教育委員会が運営しているため、お金がかかりません。教育支援センターと似た施設に「フリースクール」がありますが、こちらは年間30~50万円の費用がかかります。

フリースクールについてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
フリースクールとは?基本情報から学費・進学可否まで幅広く解説

教育支援センター(適応指導教室)のデメリット

教育支援センターに通うのには、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットは以下の2つです。

・保護者の負担が大きい
・出席にカウントされないことがある。

これらを詳しく解説していきます。

<保護者の負担が大きい>

教育支援センターに通うとなると、保護者の送迎やお弁当作りが必要になります。保護者に時間の余裕があればよいのですが、余裕がない方だと難しいかもしれません。

<出席にカウントされないことがある>

もう一つのデメリットは「教育支援センターに通っても、出席と認められないことがある」ことです。校内で実施されている教育支援センターでは出席が認められることが多いようです。しかし、校外の教育支援センターでは出席が認められない場合があります。教育支援センターに通う際には学校の先生とよく相談し、出席について確認しておきましょう。

教育支援センター(適応指導教室)の利用条件は?対象となる条件や必要な手続きについて

教育支援センターの利用には、自治体ごとに条件が定められています。

例えば、大阪市では以下のような条件を満たす児童生徒が通所対象です。

1.大阪市立の小中学校及び義務教育学校に在籍している児童生徒
2.心理的理由により、不登校となっている児童生徒
3.学習意欲がある児童生徒(自学自習ができる児童生徒)
4.一人で通所できる児童生徒

(*出典1)教育支援センター

具体的な条件や手続きは自治体によって異なるため、まずはお住まいの地域の相談窓口を確認しましょう。

お子さんが不登校になると、保護者や家族がどうにかして現状を変えたいと動いてしまいがちです。ただ、お子さん本人に通う意思がないのに手続きを進めてしまうと、状況が悪化する場合もあります。

見学などを通してお子さん自身が「通いたい」と思うのか、気持ちを確認するのが良いでしょう。

教育支援センター(適応指導教室)とフリースクールの違い

教育支援センターと似たような活動内容を行う施設として、フリースクールがあります。

お子さんの不登校が長引いてきたときに、教育支援センターとフリースクールのどちらに通うのが良いのか、悩まれる保護者の方も多いのではないでしょうか?

教育支援センターとフリースクールは、どちらも不登校の子どもを支援する目的で運営されていますが、異なる点も多くあります。それぞれの違いを理解したうえで、お子さんに合った支援先を見つけていただきたいと思います。

1.運営元・費用の有無

教育支援センターは各市町村の教育委員会が公的に運用している機関ですが、フリースクールは個人や民間企業、NPO法人等の団体が運営しています。

そのため、フリースクールは支援の方針やカリキュラムが運営団体によって異なり、利用料金も規模によって大きく異なります。

教育支援センターは利用料金がかかりません。

2.活動内容

教育支援センターが学校復帰や心理面のケアなど、ある程度決められたカリキュラムに沿って運営されている一方、フリースクールはより自由で幅広い活動を行っていることが多いです。

(*出典2) 文部科学省|「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果

例えば、農業体験や釣り・キャンプといった自然体験を通して、子どもたちが社会で生きる楽しみと居場所を感じられるよう、さまざまな活動を行っているフリースクールもあります。

3.学校との連携・出席日数

教育支援センターの役割に、子どもが籍を置いている学校との連携がありますが、出席日数についても連携されており、教育支援センターに通うことで学校への出席日数としてカウントされます。

しかし、フリースクールには学校側が出席日数をカウントすると認めている施設と認めていない施設があります。

教育支援センターと同様に、出席日数としてカウントされ、学校とも連携がとれている施設もあるので、候補のフリースクールがあるのであれば、どのような仕組みになっているのかをしっかり確認しましょう。

運営元利用料金活動内容学校の出席扱い
教育支援センター
(適応指導教室)
教育委員会等無料カリキュラムがある程度決まっている認められる
フリースクール民間企業
NPO
個人
施設ごとに異なる施設によって異なり、自由度や幅が広い施設によっては認められることもある



「フリースクールについてもっと詳しく知りたい」
「学校の出席扱いされるフリースクールって何?」
という方は、以下の記事をご覧ください。
▶「フリースクール・ICTでの学習は出席扱いされる?要件やフリースクール選びのポイントを解説」

【まとめ】教育支援センター?フリースクール?どちらに通うべき?

教育支援センターとフリースクール。似ているようで異なる点も多くありますね。本記事を読まれて「どちらがいいのかわからなくなった」という保護者の方もいると思います。

ただ、保護者の方がお子さんに「こっちの方があなたに合うからここに行きなさい」と言うのはやめた方がいいと思います。

教育支援センターもフリースクールも、お子さんのための支援機関です。

保護者の方の先入観や出席日数などの条件は一旦置いておいて、お子さんの気持ちを聞いてみてください。

お子さんが「ここに行きたい」「ここなら行けそう」と思える施設がお子さんに合った施設です。不登校のお子さんが自分に合ったサポートを受けられるよう、サポート機関を上手に活用しましょう。

教育支援センターやフリースクール以外にも、不登校のお子さんをサポートする制度やサービスはたくさんあります。お子さんの不登校で悩みを抱えている方は、一人で悩まず、相談機関に連絡してみてください。

【出典一覧】

*1 教育支援センター
参考箇所:
教育支援センター(適応指導教室)とは
教育支援センター(適応指導教室)の利用条件は?対象となる条件や必要な手続きについて

*2 文部科学省|「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果
参考箇所:
教育支援センター(適応指導教室)とは
教育支援センターの役割は?
教育支援センター(適応指導教室)とフリースクールの違い

つぶやくつぶやくシェアするシェアするLINEで送るLINEで送る

関連記事

高校生が不登校になる要因とは?前兆や保護者ができる対応法も解説。

関連記事

不登校のお子さんへの対応はどうする?タイプ別、年齢別に解説します