不登校支援に必要不可欠!お子さんの自己肯定感を高めるための5つのポイント

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目次

不登校と自己肯定感には密接な関係があるといわれています。

内閣府が行った若者に対する意識調査では、先進国の中で日本は最も自己肯定感が低いという結果が出ました。

お子さんが不登校にならないために、また、不登校から復帰するために、自己肯定感を醸成することが鍵になるかもしれません。

では、どうやってお子さんの自己肯定感を高めていけばよいのでしょうか?本記事では、お子さんの自己肯定感を高めていく5つのポイントをお伝えします。

自己肯定感とは

自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定する感覚」のことで、他の誰かと比べることなく、自分自身が「今の自分」のすべてを認め、尊重することで生まれてくる感覚です。簡潔に言うと、欠点を含めて自分自身を肯定的に受け入れられる感覚で、人生を前向きに進んでいくための原動力となります。

なぜ自己肯定感が低いと不登校につながりやすいのか

2018年に内閣府が行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査*1」では、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自分自身に満足していたり、自分に長所があると感じていたりする割合が最も低く、また、自分に長所があると感じている割合は5年前の2013年の調査時よりも低下していました。

自己肯定感が高ければ、ありのままの自分を肯定することができます。自分自身を肯定的に捉えているので、一時的に何かに失敗してうまくいかないことがあったり、悲しい出来事があっても、すぐに立ち直ることができます。

一方、自己肯定感が低いと、例えば成績が下がってしまったり、友人とケンカをしてしまったりするなど、うまくいかないことが1つでもあると、「自分はダメだ・・」と落ち込み、自分自身を否定してしまいます。

そうなると、「自分は何をしてもダメだ」とあらゆる物事へのやる気がなくなり、無気力な状態になってしまうため、学校へ行く元気もなくなってしまうのです。

さらに、学校に行けていない状態は「みんなはできているのに自分だけができていない」という捉え方をしてしまいやすく、他者と比較して劣等感を持ってしまうことにつながるため、さらに自己肯定感が低くなっていくという負のスパイラルに陥りやすくなってしまいます。

お子さんの自己肯定感を高めるためのポイント

①現状を認められるようなコミュニケーションをとる

まずはお子さんが、今の自分を認めてあげられるようになることが大切です。

人は誰でも失敗するし、苦手なことがあります。できないことやうまくいかないことがあっても、「これが自分で、こういうことは苦手だけれど、かけがえのない存在なんだ」と自分で思えるように、マイナスな要素を含む自分自身を認められるようなコミュニケーションをしていきましょう。

そういったコミュニケーションには、保護者の方の意識も重要です。「学校に行っても行っていなくても、あなたはそのままでかけがえのない存在だ」と心から思い、伝えてあげてください。

お子さんが「自分を認めてくれる人がいる」と感じることは、安心感を持って物事をポジティブに考えていくことにもつながります。

お子さん自身が自分で「学校に行けない自分はダメだ」と考えるのではなく、「学校に行っていなくても自分は価値のある存在だ」と思うことができれば、一歩前進したと言えるのではないでしょうか。

②成功体験を積み重ねる

勉強でもスポーツでも、何かが「できるようになった」という実感は、「自分はやればできるんだ」という自信につながります。

お子さんが何かにチャレンジして、達成できるような、小さな成功体験を積ませてあげてください。

重要なのは、少し頑張れば達成できることを目標にすることです。勉強やスポーツでなくとも、家の中でできるちょっとしたお手伝いでも構いません。

高すぎる目標にすると、失敗して更に自己肯定感が下がってしまう可能性もあるので、小さなチャレンジがおすすめです。

③自分の良いところ、得意なこと、好きなことを見つける

お子さんが、「こういうところが自分の良いところ」「自分はこれが得意だ」「これが好き」と思えるものを見つけていくことも、自己肯定感の醸成に大切です。

ここでいう「良いところ」や「得意なこと」は、他の誰かと比べて決めるものではありません。

人と比べることを軸にしていると、いつか必ず自分よりも「できる」人が現れてしまい、その人よりは「劣っている」と考えてしまいます。

そうではなく、軸を自分にし、「自分が」できること、得意なこと、好きなことを見つけることが大切です。

お子さんが自分でそういったことを見つけるのが難しそうな場合は、保護者の方や先生など、周りの大人が「〇〇できるなんてすごいね」「〇〇が好きなんだね、楽しいよね」と、他者と比べることなく、お子さんの良いところを伝えていくとよいかもしれません。

④誰かの役に立てることを知る

内閣府が行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査*1」では、日本の若者の傾向として、自分が役に立たないと強く感じている人ほど自己肯定感が低いという結果が出ました。

周囲との関係性を大事にする性質を持つ日本人にとっては特に、「自分は誰かの役に立っている」「自分は必要とされている」という感覚が大切で、自己肯定感の向上につながります。

お子さんが、自分は必要とされていると思えるように、家で「ありがとう」をたくさん言ってあげてください。

小さなことでもありがとうと言われることで、お子さんは誰かの役に立っていると思うことができます。

⑤自分の思いを大切にする

自己肯定感が低いと、自分の考えに自信を持てなくなるため、他の人はどう思っているのか、どうすれば周りから嫌われないようにできるのか、といった考え方をしてしまいがちです。

しかし、主体的に考え、行動することが自己肯定感を高めることにつながります。

自信がないため、あまり意見を言わないお子さんもいるでしょう。意識的に「本当はどうしたいのか」というお子さんの内なる思いや気持ちを大切にし、尊重してあげてください。

日頃のちょっとした行動でも、お子さんの気持ちや選択を大切にすることが、人生を主体的に生きていくことにつながります。

さいごに

お子さんの自己肯定感は、お子さんが一人で頑張って高まるものではありません。

お子さんのありのままを認める保護者の方などの大人がいて、成功体験や得意なこと、好きなことを通して自分に自信を持てるようになり、人との関わりから必要とされる存在であることを実感して、自己肯定感は少しずつ醸成されていくものです。

何より大切なのは、お子さんに「あなたは自己肯定感が低いから高めよう」と言わないことです。

ありのままを認めていないことになり、お子さんに対して否定的に接することになります。保護者の方が自分を否定的に感じていると気づいたお子さんは、自分のことを否定的に思ってしまいます。

大事なことは、「今のままのあなたが素晴らしい」とありのままに受け入れ、認めてあげることです。

【出典一覧】

*1 文部科学省|我が国と諸外国の若者の意識に関する調査

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