不登校の中学生でも高校進学は可能?進学に必要な条件や選択肢を解説!

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目次

中学校で不登校になった場合、高校に進学できるかは不安に感じるポイントです。

今回は不登校でも中学から高校に進学できるのか、そして進学に必要な条件や選択肢を紹介していきます。

この記事では、不登校のタイプ別におすすめの進学先を紹介しているので最後までぜひご覧ください。

不登校だった中学生も高校進学できる?

結論からいうと不登校だった受験生でも高校進学は可能です。

このことはデータで示されています。

文部科学省が行った「不登校に関する実態調査」という追跡調査によると、中学校を卒業してすぐの時点で高校に進学した不登校の中学生の割合は約80%もいることが分かります。

(*出典1)文部科学省|「不登校に関する実態調査」~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版

高校に進学するために必要な条件

では、そもそも高校に進学するために必要な条件は何なのでしょうか。

文部科学省は高等学校の入学資格を定めているのですが、不登校の中学生に主に関係する要素は以下の2つです。

  • 中学校、特別支援学校の中学部等を卒業した者、又は中等教育学校の前期課程を修了した者(学校教育法第57条)
  • 就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定規則(昭和41年文部省令第36号)により、中学校を卒業した者と同等以上の学力があると認定された者 (学校教育法施行規則第95条第4項)

(*出典2)文部科学省|高等学校入学資格について

この2つを要約すると以下のようになります。

  • 中学校を卒業した人
  • 中学校を中退したあと、中卒認定試験に合格した人

つまり、基本的には中学校を卒業できれば高校に進学できますし、仮に中学校を中退していたとしても中卒認定試験さえ合格すれば、高校に進学できます。

高校の選択肢は何がある?

高校の選択肢は大きく以下の3つに分けられます。

  • 全日制
  • 定時制
  • 通信制

それぞれについて、特徴や向き不向きを解説していきます。

全日制

全日制は朝登校して1日5〜6時間の授業を受ける高校で、一般的に「高校」と言ってイメージされる学校のことです。

特徴としては、次のような点が挙げられます。

入学試験・公立高校では内申点が重要になってくる
・私立高校では内申点は重視されないが、学力試験は存在する
入学後・大学進学についての情報が一番豊富
・授業だけでなく課外活動も盛ん
・朝起きられなければ留年する可能性

大学に進学したいと考えている方には全日制高校が一番おすすめです。

授業時間も一番多く、大学についての情報・ノウハウは3種類の中でも1番だと言えます。

一方で、朝起きられないという人や大人数のクラスが苦手な人にはあまりおすすめできません。

朝起きられなければ留年してしまう可能性がありますし、全日制では大人数で授業を受けることがほぼ必須となります。

定時制

定時制は夕方に登校して1日4時間程度の授業を受ける高校です。

特徴としては、次のような点が挙げられます。

入学試験・内申点は重視されず、面接と作文で評価される高校が多い
入学後・働きながらでも通うことができる
・少人数クラスで授業を受けられる
・周りが10代だけとは限らない
・大学進学へのサポートは弱い傾向にある

朝起きられない人や、働きたいけれど学校にも通いたいという人には定時制がおすすめです。

定時制では働きながら学校に通う人が多く在籍しています。

一方で、どうしても大学に進学したい人や、同世代以外の大人と接することがストレスに感じる人にはおすすめできません。

定時制では進学サポートが他の高校に比べて弱い場合が多いです。

また、成人した人が定時制に通っている場合も珍しくありません。

通信制

通信制は通信によって教育を行う高校で、全日制や定時制と違い、単位を取ることが卒業要件となっています。

特徴としては、次のような点が挙げられます。

入学試験・面接と作文で評価される高校が多い
・入学時期が春と秋の2回・通年で入学できる高校もある
入学後・自分のペースで学習を進められる
・働きながらでも通うことができる
・登校頻度を選べる可能性が高い
・先生や友人との関わりは少なくなる
・自主的に学習しなければ単位が取れない

あまり学校に登校したくない人や働きたいけれど大学に進学したい人は通信制高校がおすすめです。

通信制高校であれば必ず週5で登校する必要がありませんし、定時制に比べれば進学実績がいい高校が多いです。

一方で、単位を取らなければ卒業することができないので、自己管理をして期日までに課題やレポートを出すことができない人にはあまり向いていません。

通信制高校については以下の記事でより詳細に解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

通信制高校はお子さんが不登校になった際の選択肢。仕組み・メリット・注意点を解説

不登校であることによる不利はないのか

不利になる場合もある

不登校を理由に不利になることは少ないですが、学校の種類によってはどうしても不利になってしまう場合があります。

それは全日制の公立高校を受験する場合です。

全日制の公立高校の入試では内申点が審議されます。その内申点の要素として出席日数も見られることになります。怪我などの考慮される理由でなければ不利に働く可能性もあると考えられるでしょう。

ただし、不利にならない場合も存在します。例えば、学校には通っていなくとも要件を満たしていれば、フリースクールに通うことやICTを活用した学習で出席扱いになる場合があります。

出席扱い制度については別の記事で詳しく解説しているので良ければそちらも参考にしてみてください。

出席扱い制度とは?不登校でも出席日数を得られる文部科学省公認の制度

不利にならない高校も多い

近年では「不登校枠」と呼ばれる出席日数を考慮しない受験の方法も登場しているため、そういった方法を活用すれば公立高校の受験であっても不利に働くことはありません。
しかし、枠は決して多くないため、高い倍率を潜り抜けなければならないということは覚悟しましょう。

全日制であっても私立高校であれば内申点が影響を及ぼす場合は公立高校に比べて少ないです。
全日制に行きたいけれど内申点がどうしても足りないという場合には私立高校もおすすめできます。

定時制と通信制では入学試験で内申点が影響することはほとんどないでしょう。
これらの入試は多くが面接と作文で構成されており、10代以外が受験する場合も多く、内申点が入試の合否に関わることはないと考えられます。

高校進学するうえで身につけておきたい能力

ここまで、不登校であっても高校進学において不利はそこまでないと紹介してきました。とはいえ、ほとんどの高校で入学試験があるため試験を突破できる能力を身につける必要があります。ここからは高校受験を突破するうえで身につけておきたい能力について紹介します。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は主に定時制・通信制に進学しようと思っている人に身につけておいてほしい能力です。というのも、面接ではコミュニケーション能力が測られるからです。

ただし、ここでいうコミュニケーション能力は、一般的に使われる「友達ができるか」や「人とすぐ仲良くなれるか」を指すいわゆる「コミュ力」とは少し違います。

大事なのは「マナーを守れているか」です。身だしなみが整っているか、面接の場に適した言葉遣いができているかといった点が評価対象になっています。こういったマナーを守る能力は事前の練習だけで定着するものではないので、普段の生活から意識してみましょう。

作文能力

作文能力はどのタイプの学校に進学するにしても必須の能力です。学力試験で見られるのはもちろん、作文の試験でも評価の対象になってきます。

最近はSNSが流行っているため、文法的に間違った表現や文章の流れを目にする機会が多くなっています。試験の時には、原稿用紙に正しい文法表現や文章の流れで書いていく必要があるので、普段文章を書く機会が少ないという人は、ぜひ早くから原稿用紙上で文章を書く練習をしておきましょう。

学力

学力は主に全日制の高校を受験しようと考えている場合に重要です。全ての科目を完璧にできる必要はありませんが、自分の受験したい高校のレベル程度の学力は欲しいです。

また、通信制や定時制であっても、高校での学習内容についていくためには最低限の学力や勉強する習慣が必要です。もし勉強に対して苦手意識があれば、早いうちからなくしていきましょう。

不登校中の勉強については以下の記事で解説しています。全日制の高校を受験しようとしている人は読んでみることをおすすめします。

不登校中の勉強はどうすればいい?勉強の遅れや進学への影響について

ここまでに紹介した能力は高校受験をするうえで必要なのはもちろん、高校に入学してからも、さらには生涯にわたって必要な能力と言えます。高校受験をいい機会だと考え、身につけていくことをおすすめします。

まとめ

今回は不登校の中学生でも高校に進学できるのかについて紹介してきました。

改めて結論をいうと、不登校の中学生であっても高校進学は可能です。

一般的に想像される全日制の高校しか進学先の選択肢として存在しないわけではないので、自分の適性ややりたいことを考えて、ベストな進路を選ぶようにしましょう。

【出典一覧】

*1 文部科学省|「不登校に関する実態調査」~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版
参考箇所:不登校だった中学生も高校進学できる?

*2 文部科学省|高等学校入学資格について
参考箇所:高校に進学するために必要な条件

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