不登校は転校で解決できる?失敗しないための注意点や転校先を決めるポイントを解説。

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目次

小学校・中学校・高校を対象とする文部科学省の調査によると、不登校の原因のうち「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が、3番目に多いとされています。*1

不登校になったお子さんが、人間関係の改善や環境の変化で学校へ行きやすくなるケースがあります。学年が変わるタイミングのクラス替えや担任の変更、さらに言うと「転校」も一つの手段です。

今回は、不登校の解決策として転校をするときのメリット・デメリットや注意点、転校先を決める際のポイントについて解説します。

転校で不登校は解決する?

そもそも、転校によって不登校は解決するのでしょうか?

転校は不登校の解決策の1つ

学校の友達や先生との関係が不登校の原因となっている場合、転校することは不登校の解決の手段となり得ます。

環境を変えることで、お子さんも学校へ通えるかもしれません。

ただし、不登校の原因が明確になっていない場合など、転校をしたからといって不登校が解決しないこともあります。

そのため、十分に確認するべきポイントを把握し、よく家族で話し合ってから決断することが大切です。

不登校で転校を検討する際の注意点とは

ここからは、転校を検討する際に注意すべきポイントをご紹介します。

転校する前にお子さんの意向を確認する

不登校になった原因は学校にある!と思い込んでしまう保護者も多いですが、本人の意思を確認せずに転校させてしまうことは危険です。

例えば、勉強や集団での生活に原因がある場合は、転校をしても解決できません。

さらには、本人は今の学校に心を許せる友達や離れたくない人がいる場合もあります。

親に勝手に転校を決められたとなってしまうと、今よりもネガティブな気持ちになってしまったり、家族の関係の悪化にも繋がりかねません。

決して決断を急がせたり、無理強いしたりせず、お子さんの意向に沿って転校するかどうかを決めるようにしましょう。

転校以外に解決できる手段がないか考える

転校は不登校の解決の手段になることもありますが、お子さんに負担・ストレスをかけることもあります。

知らない町、初めて出会う友達や先生、そういった環境の変化は精神的な負担にもなります。

勉強が苦手、教室で集団生活するのが苦手、などの場合であれば、教室以外の勉強できる環境(適応指導教室やフリースクールなど)を整えてあげることで、自分なりの学習機会を持てるでしょう。

転校はあくまで手段の1つですので、まずその前に解決できるための方法がないかを検討してあげることも大切です。お子さんと話し合いながら、じっくり考えましょう。

▶フリースクールについて詳しく知りたい方はコチラ
▶適応指導教室(教育支援センター)について詳しく知りたい方はコチラ

転校しても学校に復帰できないこともある

先述した通り、転校した直後は新しい環境へ適応するために、精神的な負担がかなり大きくなります。以前に学校に行っていなかったお子さんが、いきなり毎日学校に通えるようになることはなかなか難しいでしょう。

本人のペースで学校へ通わせてあげることが、不登校からの学校復帰の近道です。1人で登校することが怖い場合などは、保護者が付き添ってあげることも大切でしょう。保護者からは長期的な視点での期待と信頼を持ってお子さんをサポートしてあげましょう。

不登校のお子さんが転校するメリット・デメリット

不登校のお子さんが学校を転校することで得られるメリットと起こり得るデメリットを紹介します。

転校するメリット

・心機一転新しい環境や気持ちで学校生活をスタートできる

いじめや友人関係、学校の先生とうまくいかないなどの原因で不登校になっている場合、新しい学校へ行くことで今までの人間関係をリセットして学校生活を送ることができます。「学校に行きたい」という気持ちはあるけれど、人間関係が怖くて行けないなどの場合もあるでしょう。そのような場合には、転校することが学校復帰するための有効な手段になります。

・人間関係などの原因を直接取り除くことができる

転校をすると、全く新しい環境で新しい出会いがあります。仲良くなれる友達や、相性のいい先生に出会えることもあるでしょう。少なくとも、今までの人間関係をリセットして、新しい生活を送ることができます。

また、今までと違った環境で人間関係を1から構築していく過程で、人として成長できることもあります。お子さんに頑張る前向きな気持ちが芽生えている場合、保護者はポジティブに捉えて見守ってあげましょう。

転校するデメリット

・仲の良かった友達と離れてしまう

環境が変わることは、ポジティブなことばかりではありません。新たな出会いがあるということは、これまでの友達や先生との別れがあります。

お子さんが転校に前向きな場合でも、友達と離れる寂しい気持ちを持っていたり、それを隠していたりすることはあります。1番近くにいる保護者がフォローしてあげられるように、意識して見守ってあげましょう。

・環境の変化による過度なストレスがかかることもある

環境の変化に対して、ポジティブになれるお子さんもいれば、過度なストレスを感じて体調を崩したり、学校へ行くことが今までより怖くなってしまったりするお子さんもいます。

特に環境の変化に弱いお子さんや、ストレスへの耐性が弱いお子さんは注意が必要です。慎重に、転校以外の手段も含めて検討するようにしましょう。

不登校で転校したいとなったらどうする?

転校しようと決めても、何をしたら良いか分からないと思います。

ここでは、転校のためにすべきことを解説します。

今の学校に話す

まずは、転校したいと思っていることを今通っている学校に伝えましょう。

転校のための手続き方法について教えてもらえるので、手続きがスムーズに進みます。
また、転校先にお子さんの情報を引き継いでもらえる場合もあるので、転校後の手続きが減るかもしれません。

転校すると決めたら、必ず今の学校に相談しましょう。

転校先を決める

お子さんのリスタートのための転校ですので、転校先選びは非常に大切です。

転校先選びの際は、お子さんとしっかり意思疎通し、念入りなリサーチをして決めましょう。

「引っ越しをしないで転校する場合、私立へ行くしかない」というイメージの方もいるかもしれませんが、最近では、不登校のお子さんの事情を考慮し、引っ越しをせずに別の公立学校に入ることを認める地域もあります。

学校の様子や周りの環境を知るために、実際に学校に足を運んで見学してみるのもおすすめです。

転校先を決める際のポイントは後ほど紹介します。

手続きの準備を始める

転校の手続きの準備も、早めにしておきましょう。

転校の手続きに明確な期限はありませんが、引っ越し先の住所や学校によって転校が可能な時期が異なります。

在学中の学校や転校したい先の学校に早めに連絡をして、転校時の手続きをスムーズに進められるようにしましょう。

私立の小中学校へ転校する場合、試験を科されるので、その準備も必要です。
引っ越しを伴った転校をする方は、引っ越しの手続きもしましょう。

転校の手続きについては、先述した通り、今の学校に相談すれば教えてもらえるはずです。

転校先を決めるときに見るべき3つのポイント

学校の雰囲気や学力レベル

まず見るべきことは、雰囲気と学力レベルです。

馴染めそうな雰囲気の学校かどうか、お子さんの意見も聞いて確認しましょう。

また、学力レベルも学校の雰囲気を反映している場合があります。

学力レベルが低すぎる場合は、学級崩壊やいじめの多発などが心配されます。

反対に学力レベルがお子さんに比べてあまりに高いと、学校の勉強についていけず、学校へ通うことが嫌になる可能性もあるので、注意しましょう。

新しい生徒や家族に対する受け入れの姿勢

学校や地域の受け入れ姿勢も重要なポイントです。

転校生が学校に馴染めるようなフォローが充実しているか確認しましょう。

地域によっては、新しい家族が来ることをよく思わず、嫌がらせをしてくることもあります。

インターネットで住んでいる人の意見を探したり、実際に学校に行ってみると安心でしょう。

周辺の環境

引っ越しをする場合、周辺の環境も確認しましょう。

学校の周りの環境は、家族の生活の場であり、お子さんの遊び場ともなるので大切です。

例えば、自然豊かな公園が近くにあれば、お子さんがのびのびと遊べ、近所のお子さんとの交流もできます。

お子さんも家族も慣れない場所で暮らすことになるので、スーパーマーケットや病院など生活に必要な施設が近くにあって、快適に住める場所を選びましょう。

周辺の環境についても、実際に訪れてみるのが、イメージも湧きやすくおすすめです。

まとめ

今回は、不登校の解決策の一つとして転校についてご紹介をしました。

まずは、転校はあくまで不登校の解決策の1つですので、本人や周囲とよく相談し、慎重に検討していきましょう。

転校以外に不登校を解決する手段や、学校に行けなくても学習ができたり、学校の出席認定を受けられる「出席扱い制度」がありますので、そういったものも含めて、適切なサポート方法を検討しましょう。

▶出席扱い制度について詳しくはコチラ

【出典一覧】
1.文部科学省|令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

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