「毎日学校へ通うのがつらい」「自分のペースで高校卒業を目指したい」
――そんなお子さんの進路を考えるとき、心強い選択肢になるのが通信制高校やサポート校です。
この記事では、和歌山県内で学べる代表的な通信制高校とサポート校を、学費やスクーリング、入試情報とあわせて紹介します。
目的別の選び方や使える奨学金・補助金制度もまとめているので、お子さんに合った学校を見つける手がかりにしてください。
和歌山県の通信制高校事情
まずは、和歌山県の通信制高校がどのような状況にあるのかを押さえておきましょう。
和歌山県内で通信制課程を置く高校は、令和6年度(2024年度)時点で7校です。
内訳は公立が3校、私立が4校となっています。
ただし、このうち通信制だけを置く独立校は私立の1校のみで、残る6校は全日制や定時制と同じ学校のなかに通信制課程を併せて置く「併置校」です。
県内の通信制課程で学ぶ生徒は令和6年度でおよそ1,854人と、全国の都市部に比べれば規模は大きくありませんが、近年は横ばいから微増で推移しており、通信制が進路の選択肢として定着してきていることがうかがえます。
地理的には、学校と生徒が県北部に集まっているのが和歌山県の特徴です。
県都・和歌山市に2校(生徒数895人)、橋本市に1校(355人)、紀美野町に1校(221人)と、北部だけで生徒のおよそ8割を占めています。
ただし、和歌山県は南北に細長く、南部(紀南)に暮らす家庭も少なくありません。
そこで、紀南の中心である田辺市に県立南紀高等学校が置かれ、さらに県最南部の新宮市にもスクーリング会場(新宮学級)が設けられるなど、南部の受け皿も用意されています。
ここからは、区分ごとに代表的な学校を具体的に見ていきましょう。
【公立】和歌山県の通信制高校
学費の負担をできるだけ抑えたいなら、まず候補に挙がるのが公立の通信制です。
和歌山県では、県立高校3校が通信制課程を置いており、北部から南部までをカバーしています。
いずれも高等学校等就学支援金の対象で、授業料の負担は軽くなります。
和歌山県立きのくに青雲高等学校(和歌山市)

和歌山市吹上にある、定時制と通信制を併せ持つ県立高校です。
2012年に県立青陵高校と県立陵雲高校が統合して開校しました。
通信制課程は単位制で、在宅での自学自習を中心に、レポート提出とスクーリング(面接指導)、テストを組み合わせて単位を修得していきます。
高校卒業をめざす「Aコース」のほか、単位認定を行わず学びたい科目だけを受講する社会人向けの「Bコース(聴講生)」も用意されているのが特徴です。
県立校のため授業料の負担は軽く、就学支援金を使えばさらに抑えられます。
授業料のほかに、諸費(1単位あたり200円)や、入学時の学習振興費1,000円・教材費1,000円・生徒会費2,000円、教科書・学習書代(25,000円程度)などがかかります(金額は令和8年度の例)。
入試日程や費用は年度によって変わるため、最新の募集要項で確認してください。
所在地:和歌山市吹上5丁目6番8号
和歌山県立伊都中央高等学校(橋本市)

県北東部の橋本市にある、2015年(平成27年)に開校した県立高校です。
通信制課程は単位制で、レポートとスクーリング、テストを組み合わせて単位を積み上げていきます。
橋本市は大阪府と接する伊都地方の中心で、和歌山市まで出なくても県北東部で学べる立地の良さがあります。
県立校のため学費負担は軽く、就学支援金の対象にもなります。入試や出願の詳細は通信制の入学案内で確認してください
所在地:橋本市高野口町名古曽558
和歌山県立南紀高等学校(田辺市)

紀南の中心・田辺市にある県立高校で、県南部における通信制の受け皿となっています。
家庭での自主学習を中心に、日曜のスクーリングで学ぶスタイルが基本で、平日の受講にも対応しています。
特徴は、田辺市の本校に加えて新宮市の県立新宮高校内にも学びの場(新宮学級)があり、県最南部からでも通える体制が整っている点です。
授業料は1単位あたり336円と公立ならではの軽さで、これに教育振興会会費(1単位200円)や生徒会費(年1,000円)などが加わります。就学支援金を活用すれば授業料の負担はごくわずかで済みます(金額は令和7年度実績)。
所在地:田辺市学園1番88号
【私立】和歌山県に本校がある通信制高校
公立に比べると学費はかかりますが、独自のコースや学びのスタイルが用意されているのが私立です。
和歌山県内に本校を置く私立の通信制高校から、特色のある2校を紹介します。
慶風高等学校(紀美野町)

海草郡紀美野町に本校を置く、2005年に開校した私立の通信制高校です。
県内でも早くから私立の通信制を担ってきた学校のひとつで、全日制や定時制を併設しない通信制単独の学校です。
和歌山市秋月にはサポート校(通学拠点)も設けられています。
学び方の選択肢が幅広く、自宅学習が中心の「通信型」、スポーツに打ち込む「スポーツ中心型」、無理なく通える「週2日登校型」、しっかり通う「週5日登校型」の4つのコースから、生活リズムや目標に合わせて選べます。
学費は入学金20,000円、授業料240,000円、施設充実費50,000円が基本です(2026年度募集要項による)。
支援金の対象で、適用を受ければ授業料の負担は軽くなります。
コースによって費用が変わることもあるため、詳しくは資料請求や説明会で確認してください。
所在地:海草郡紀美野町田64番地
高野山高等学校 マイ・ウェイコース(高野町)

世界遺産で知られる高野山にある私立高校が設けている、広域通信制のコースです。
全国どこからでも入学でき、年齢を問わず学べるのが大きな特徴です。
学びの中心となるスクーリングでは、高野山に実際に足を運び、世界遺産の地で旅行のように学べるのが大きな魅力です。
年1〜2回、3〜5日間、高野山の本校で行われます
自宅学習を基本にしながら、自分のペースで高校卒業を目指せます。
学費は入学金20,000円、維持費(年間)50,000円、同窓会費10,000円に、授業料として履修1単位あたり10,000円がかかります。
金額やスクーリングの日程は変わることがあるため、最新の募集要項で確認してください。
所在地:伊都郡高野町大字高野山212
和歌山県にキャンパス・学習センターがある広域通信制高校
本校は他県にありながら、和歌山市内にキャンパスや学習センターを構え、市内に通いながら卒業を目指せる広域通信制高校もあります。
全国規模のネットワークを生かした多彩なコースが魅力で、拠点はいずれもJR和歌山駅の周辺に集まっています。
精華学園高等学校 和歌山校(和歌山市)

山口県に本校を置く広域通信制高校で、全国に学習拠点を展開しています。
和歌山校は和歌山市友田町にあり、一人ひとりの状況に合わせた個別指導型の学習が特徴です。
小・中学校の内容の復習から対応してくれるため、基礎に不安があるお子さんも安心して学び直しから始められます。
登校日数を調整しやすく、自分のペースで進められる環境が整っています。
就学支援金の対象校です。学費は履修する単位数やコースによって異なり、公式サイトに金額の記載がないため、見学相談会や資料請求で確認してください
所在地:和歌山市友田町2丁目145番地 KEG教育センタービル 3F
鹿島朝日高等学校 和歌山キャンパス(和歌山市)

岡山県に本校を置く広域通信制高校で、和歌山市友田町のJR和歌山駅近くにキャンパスがあります。
少人数制で一人ひとりに目が届きやすく、通学スタイルの選択肢が豊富なのが特徴です。
決まった曜日に通うスタイルから、自宅学習を中心にするスタイルまで、お子さんの状況や体調に合わせて無理のない通い方を組み立てられます。
人との関わりに不安があるお子さんも始めやすい環境です。
学費は入学金がかからず、施設費が年24,000円、授業料が1単位あたり12,000円、システム管理費・通信費が年49,000円などです。
就学支援金を活用すれば授業料の負担は軽くなります。
学習スタイルによって費用が変わるため、詳しくは資料請求や個別相談で確認してください。
所在地:和歌山市友田町
和歌山県のサポート校一覧
サポート校は、それ自体では高卒資格を出せない民間の教育施設です。
高卒資格の取得には提携する通信制高校への同時入学が必要になり、サポート校の費用と通信制高校の学費は別々にかかる点に注意してください。
その分、学習面や生活面のきめ細かなサポートが受けられるのが強みで、不登校からの再スタートや大学進学を手厚く支えてくれます。
おおぞら高等学院 和歌山キャンパス(和歌山市)

屋久島おおぞら高等学校と提携するサポート校で、2025年4月にJR和歌山駅前の和歌山市美園町に開校しました。
子ども・福祉、プログラミング、マンガ・イラスト、進学など、目的に応じたコースが用意されているのが特徴です。
生徒一人ひとりに「マイコーチ」がつき、個性や「好き」を伸ばす学びを支えてくれます。
スクーリングでは世界自然遺産の屋久島にある本校に出向き、自然を生かした特別活動を体験できます。
学費は、みらい学科の基礎コースで年間396,000円(税込)、個別指導コースで580,800円(税込)などとなっています(2027年度生徒募集要項による)。
専門コースや進学コースはコースによって学費が異なるため、キャンパスへの問い合わせで確認してください。
所在地:和歌山市美園町5丁目1-8 山榮ビル 7F
トライ式高等学院 和歌山キャンパス(和歌山市)

「家庭教師のトライ」が運営するサポート校で、JR和歌山駅近くの和歌山市美園町にキャンパスがあります。
提携する通信制高校に在籍しながら、トライならではのマンツーマン指導で学習を進められるのが特徴です。
通学・在宅・オンラインの学習スタイルを組み合わせられ、お子さんの状況に応じて通学日数を調整できます。
不登校からの再スタートから大学進学まで幅広く対応しており、進学サポートの手厚さにも定評があります。
学費はコースや受講するコマ数によって異なり、公式サイトでは公開されていないため問い合わせが必要です。
所在地:和歌山市美園町5丁目2-5 アイワビル3F
和歌山さくら高等学院(和歌山市)

和歌山市西高松にあるサポート校で、一人ひとりのペースを大切にした学びが特徴です。
しっかり学ぶ「進学コース」、週2日を基本にする「スタンダードコース」、中学生や不登校のお子さんに向けた「プレコース」など、状況に合わせて選べるコースが用意されています。
少人数で生徒に寄り添う指導を大切にしており、集団の場が苦手なお子さんも通いやすい環境です。
連携する通信制高校は国及び大阪府の私立高校授業料支援制度対象校ですと記載がありますが、詳細は明記されていないため、資料請求や個別相談で確認してください。
所在地:和歌山市西高松1丁5-40
【目的別】和歌山県の通信制高校おすすめの選び方
学校が多くて迷ってしまう場合は、何を重視するかで絞り込むのがおすすめです。目的別に向いている学校を整理しました。
とにかく学費を抑えたい方には、授業料が1単位336円と公立ならではの軽さである県立の南紀高等学校をはじめ、きのくに青雲・伊都中央といった県立3校が筆頭候補です。就学支援金と合わせれば、授業料の負担はごくわずかで済みます。
大学進学を目指す方には、マンツーマンで進学対策までみてくれるトライ式高等学院、個別指導型の精華学園高等学校、週5日登校型もある慶風高等学校などが向いています。
不登校経験があり手厚いサポートがほしい方には、少人数で寄り添う和歌山さくら高等学院、完全マンツーマンのトライ式高等学院、マイコーチ制のおおぞら高等学院などがおすすめです。
専門分野(芸術・eスポーツ・プログラミング等)を学びたい方には、プログラミング・マンガイラストなどのコースがあるおおぞら高等学院が選択肢になります。
通学日数の少なさを重視する方には、家庭学習を中心にできる県立南紀高等学校、自宅学習中心の「通信型」を選べる慶風高等学校、自宅学習制も選べる鹿島朝日高等学校などが通いやすいでしょう。
発達障害・起立性調節障害の方には、一人ひとりのペースを大切にする和歌山さくら高等学院や、体調に合わせて在宅・オンラインで学べるトライ式高等学院、個別指導でペースを合わせやすい精華学園高等学校などが、無理なく続けやすい環境です。
和歌山県の通信制高校で使える奨学金・補助金制度
通信制高校は全日制より学費を抑えられるケースが多いものの、私立やサポート校では一定の費用がかかります。負担を軽くするために、使える制度を確認しておきましょう。
全国共通で使える制度
高等学校等就学支援金は、授業料を国が支援する制度で、通信制高校も対象です。2026年(令和8年)4月からは所得制限が撤廃され、より多くの家庭が支援を受けられるようになります。支給される額は履修する単位数に応じて決まり、年度ごとに見直されるため、具体的な金額は文部科学省の案内や在籍する学校で確認してください。
高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)は、授業料以外の教育費を支える返済不要の給付金です。住民税が非課税の世帯などを対象に、教科書代や教材費などにあてる費用が支給されます。和歌山県では県が窓口となっており、通信制の場合の給付額は世帯の状況に応じて設定されています。金額は年度ごとに改定されるため、最新の額は和歌山県の公式ページで確認してください。
進学を見据える場合は、通信制高校の学費にも使える日本政策金融公庫の「国の教育ローン(教育一般貸付)」も選択肢になります。子ども1人につき上限350万円まで固定金利で借り入れでき、入学金や授業料、教材費などに幅広く充当できます。金利や世帯年収の上限は改定されることがあるため、最新の条件は公庫の公式サイトをご覧ください。
和歌山県・和歌山市の制度
和歌山県には、国の制度に加えて県独自の和歌山県修学奨励金があります。無利子で借りられる貸与型の奨学金で、卒業後に返還が必要です。通信制課程が対象になるかどうかや貸与額は、県の案内に明示されていない場合があるため、利用を考える場合は和歌山県教育委員会(生涯学習課)に確認するのが確実です。
和歌山市については、市独自の高校生向けの奨学金・補助制度は、本記事の執筆時点では確認できませんでした。和歌山市にお住まいの場合は、まず前述の県の制度が中心となります。なお、県内では田辺市や新宮市など、独自の奨学金制度を設けている自治体もあります。お住まいの自治体の制度が通信制高校でも使えるか、各市町村の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
お子さんに合った学校選びは、学費だけでなく、通学スタイルやサポート体制、学びたい分野など、複数の視点から比較することが大切です。
和歌山県は北部に学校が集まる一方、県立南紀高校のように紀南をカバーする学校もそろっています。
気になる学校が見つかったら、まずは資料請求や学校説明会に足を運び、実際の雰囲気を確かめてみてください。

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