「朝、子どもが学校に行きたくないと言っている」
多くの子育て世帯で起こりうる不登校の問題ですが、母子家庭の場合、その悩みはさらに深刻なものとなります。
不登校の児童生徒数の増加に伴い、母子家庭のお子さんの不登校も増えており、一人で家計を支えながら、お子さんの不登校に向き合うお母さんは少なくありません。
精神的なプレッシャーに加え、フリースクールや習い事にかかる費用、仕事と子どものケアの両立など、様々な困難が重くのしかかります。
この記事は、母子家庭で不登校の悩みを抱える保護者のためのものです。不登校の背景にある課題を共有し、フリースクールという選択肢、利用できる支援制度、そしてお子さんとの向き合い方について、具体的な情報をお届けします。
この記事が、一人で頑張るあなたの道しるべとなり、少しでも心が軽くなることを願っています。

母子家庭が直面する不登校の課題
不登校は、親子の関係だけでなく、家庭全体のバランスを揺るがす問題です。特に母子家庭では、その課題がより複雑になります。
精神的・経済的な負担
母子家庭の不登校支援が必要とされる大きな理由の一つは、保護者が一人で問題を抱え込むことによる精神的な負担です。
「私が仕事を頑張らなければ」「私が子どもを元気にしなければ」と、母親一人に全てのプレッシャーが集中しがちです。お子さんの学校復帰を願うあまり、焦りや不安、時にはお子さんを責めてしまう気持ちが生まれ、自己嫌悪に陥ることもあります。
さらに深刻なのが、経済的な負担です。フリースクールの月謝や、学校外での活動費は決して安くありません。公立学校のように義務教育無償化の対象ではないため、その費用は全て家計から捻出する必要があります。
経済的な余裕がない場合、「子どもに最善の教育を受けさせてあげたいのに、お金がない」というジレンマに苦しむことになります。
仕事と支援の両立
母子家庭の不登校は、仕事との両立が大きな課題となります。一般的によく見られる、「父親が働き、母親が家で子どもに寄り添う」という選択ができないため、多くの母親は働きながら子どもの不登校問題と向き合うことになります。
お子さんの送迎や、フリースクールの見学、相談機関との面談など、お子さんのサポートには多くの時間が必要です。しかし、仕事の時間的な制約から、お子さんの不登校問題に十分向き合えないというジレンマに直面します。
仕事を休むことで収入が減り、経済的な不安が増すという悪循環に陥ることも少なくありません。
このジレンマを解消するためには、利用できる支援制度を積極的に活用することが鍵となります。

フリースクールという選択肢:費用と補助金
「フリースクール」は、不登校のお子さんの「もう一つの学びの場」として注目されています。しかし、「費用が高いのでは?」と不安に思う方も多いでしょう。ここでは、フリースクールの役割と、経済的な支援制度について解説します。
フリースクールの役割とメリット
フリースクールは、お子さん一人ひとりの個性やペースに合わせた学びを提供します。集団生活が苦手なお子さんには少人数制のクラスで、発達障害など特性があるお子さんには個別指導で対応するなど、柔軟な対応が可能です。
- 居場所の提供
学校に行かなくても安心して過ごせる「居場所」があることで、お子さんの自己肯定感が回復し、心を休めることができます。
- 多様な学び
勉強だけでなく、創作活動やスポーツ、自然体験など、お子さんが興味を持てる多様なプログラムが用意されています。
- 専門家との連携
心理カウンセラーや専門家が常駐しているフリースクールもあり、お子さんの心のケアや発達支援にも対応しています。
フリースクールにかかる費用
フリースクールの費用は、運営団体や提供されるプログラムによって大きく異なります。
- 月謝:平均的な月謝は、2万円~5万円程度。
- 入会金:数万円~十数万円かかる場合もあります。
- その他:教材費やイベント参加費、昼食代などが別途かかる場合もあります。
私立学校と同じように、年間の費用は数十万円になることが多く、母子家庭にとっては大きな負担です。
経済的支援制度の活用
高額な費用がネックとなり、フリースクールに通わせることを諦めてしまう必要はありません。フリースクールの利用に補助金が使えたり、生活保護世帯などへの公的・民間のさまざまな支援制度があります。
- 地方自治体の補助金制度
一部の自治体では、フリースクールに通う不登校のお子さんを持つ家庭に、費用の補助金を支給する制度があります。お住まいの自治体のホームページや、教育委員会に問い合わせてみましょう。
- 就学援助制度
生活保護を受けている世帯や、それに準ずる程度に経済的に困窮している家庭に対して、学用品費や給食費などを援助する制度です。不登校でも利用できる場合があるので、お住まいの市区町村役場の担当窓口に確認してみましょう。
- 生活保護
生活保護を受けている母子家庭で、お子さんが不登校という状況の場合、生活保護の「教育扶助」を利用できる可能性があります。ただし、学校外の学習活動費用は、個別の状況に応じて判断されるため、まずはケースワーカーに相談することが重要です。

発達障害と不登校:母子家庭での対応
不登校の背景に発達障害が隠れているケースは珍しくありません。
発達障害があるお子さんは、集団生活でのコミュニケーションや学習に困難を抱え、それが不登校の原因となることがあります。
母子家庭の場合、子どもの特性を理解し、適切な支援につなげることが、母親一人では非常に難しいのが現状です。
- 専門機関への相談
まずは、児童相談所や発達障害者支援センターなどの専門機関に相談し、適切な診断を受けることが重要です。診断によって、お子さんの特性に合った支援計画を立てることができます。
- フリースクールの活用
発達障害のあるお子さんの支援に特化したフリースクールもあります。専門のスタッフが常駐し、個別指導やソーシャルスキルトレーニングを通じて、お子さんの成長をサポートしてくれます。
不登校を乗り越えるための総合的な支援
フリースクール以外にも、不登校を乗り越えるために利用できる公的な支援はたくさんあります。
公的な支援
- 教育相談センター:学校と連携し、不登校の原因を探り、学校復帰に向けた相談や、必要に応じてフリースクールの情報を提供してくれます。
- 児童相談所:児童福祉の観点から、お子さんの抱える問題全般について相談できます。
- 保健所・精神保健福祉センター:お子さんの心の健康や、親自身の精神的な悩みについても相談に乗ってくれます。
これらの窓口は、無料で利用できることがほとんどです。まずは勇気を出して、電話で相談してみましょう。
経済的な支援
就学援助制度以外にも、自治体独自の給付金制度や、民間の奨学金制度など、様々な経済的支援制度があります。インターネットで「[お住まいの市区町村名] 不登校 支援」と検索してみるのも一つの方法です。

家庭での向き合い方
子どもに寄り添うためには、まず保護者自身の心の健康が不可欠です。
- 親自身のメンタルケア
辛いと感じたら、無理をせず、一人で抱え込まないでください。カウンセリングを受けたり、同じ悩みを持つ親の会に参加したりして、気持ちを吐き出す場所を見つけましょう。
- 完璧な母親を目指さない
部屋が散らかっていても、お子さんの昼食が簡単なものでも、大丈夫です。まずは、あなたが笑顔でいられることを最優先に考えてください。
さいごに:一人で抱え込まず、頼れる場所を見つけよう
母子家庭で不登校の問題に直面しているあなたは、本当に大変な状況にあると思います。しかし、どうか一人で抱え込まないでください。
不登校は、決して母親のせいではありません。あなた一人で解決しなければならない問題でもありません。
フリースクールや行政の窓口、そして同じ悩みを持つ親の仲間など、頼れる場所は必ずあります。
この記事で紹介した情報が、あなたが勇気を出して一歩踏み出すきっかけとなり、お子さんと保護者が共に笑顔でいられる未来につながることを心から願っています。
更新日:2025/9/26