学校に行くことが難しいお子さんが増える中、「学びたい」という気持ちをどう支えるかが大きな課題となっています。
不登校は決して珍しいことではなく、環境や人間関係、体調や心の状態など、さまざまな理由から起こるものです。そして、それぞれの背景に合ったサポートが必要です。
そんな中、注目を集めているのが「オンライン塾」という選択肢。通学の負担がなく、自宅にいながら安心して学習を進められる点が、多くのお子さんに支持されています。
特に不登校のお子さんにとっては、「学校とは違うペースで、自分らしく学べる」環境が、学びの再スタートを切るきっかけになることもあります。
この記事では、不登校のお子さんに向けたオンライン塾の魅力や選び方、おすすめの10サービスをわかりやすくご紹介します。
費用の目安や口コミ、よくある疑問もまとめていますので、ぜひお子さんに合ったサービスを見つける参考にしてください。
不登校でも学べる時代!オンライン塾という選択肢
自宅で学べる環境が求められている
近年、お子さんの「学ぶ場所」は大きく変わりつつあります。
特に、不登校のお子さんや、学校という集団生活が負担になってしまう子にとって、「自宅で安心して学べる環境」は、ますます重要視されるようになっています。
家庭学習に対応する教材やツールも年々進化し、場所にしばられない学習スタイルが選べるようになってきました。
タブレットやパソコンが1台あれば、オンラインで先生とつながり、双方向の授業が受けられる時代。自宅という「安心できる空間」で、お子さんが自分のペースで学びを続けられる方法として、「オンライン塾」が注目されています。
不登校が増加している背景
文部科学省の調査によると、不登校の小中学生の数は年々増加傾向にあります。
その背景には、人間関係のトラブルや学習面でのつまずき、過度なプレッシャー、さらにはコロナ禍を経た社会の変化など、さまざまな要因が絡んでいます。
特に最近では、「無理に学校へ通わせるよりも、子どもが安心できる場所で自分のリズムを整えながら過ごすことの大切さ」に気づく保護者も増えています。
不登校は「問題」ではなく、「その子の今の状態」であると受け止める姿勢が、少しずつ社会にも浸透してきています。
オンライン塾なら安心して学習が継続できる
不登校になると、学習の遅れが心配になることも多いですが、オンライン塾ならその不安を軽減できます。自宅で受講できるため、通学によるストレスがなく、体調や気分に合わせてスケジュールを調整することも可能です。
また、多くのオンライン塾では、講師がお子さん一人ひとりの状況を理解し、丁寧に寄り添いながら指導してくれるため、「学校には行けないけれど、学ぶ意欲はある」というお子さんの力強い味方となっています。
今や、「学校に行かない=勉強できない」時代ではありません。オンライン塾は、不登校のお子さんにとって、学び直しや自信回復の第一歩を踏み出すための、大きな選択肢となっています。
不登校の子にオンライン塾はおすすめ?
通学が難しい子でも続けやすい理由
不登校のお子さんにとって、毎日決まった時間に登校し、集団で学ぶというスタイルは大きなハードルになることがあります。
オンライン塾は「通わなくても学べる」という大きな利点があります。
自宅でリラックスしながら、自分のペースで授業を受けられるため、学習の継続につながりやすくなります。授業の時間帯や頻度も柔軟に設定できる塾が多く、「今日は無理せず休もう」という選択ができることも、お子さんにとって大きな安心材料です。
対面よりも安心感がある・ストレスが少ない
人との関わりに緊張を感じやすいお子さんにとっては、オンラインという「適度な距離感」が心地よいと感じられることがあります。
カメラのオン・オフを自分で選べたり、画面越しでも個別でしっかりと対応してくれる講師がいたりすることで、プレッシャーの少ない学習環境が整います。
「顔を合わせないといけない」「人の目が気になる」といった不安から解放され、安心して学習に取り組めるのがオンライン塾の魅力の一つです。
自分のペースで進められる学習スタイル
オンライン塾の多くは、お子さん一人ひとりのペースや目標に合わせた指導を行っています。わからないところを繰り返し学習したり、得意な教科をどんどん進めたりと、自分に合ったペースで学べるため、苦手意識を克服しやすく、自信もつきやすいです。
また、個別指導や少人数クラス、録画授業など、さまざまなスタイルが用意されており、「今の自分に合う学び方」が選べるのもメリットになります。
オンライン塾とフリースクールの違いとは?
学習メイン vs 居場所・社会性重視
不登校のお子さんを支えるサービスとして、「オンライン塾」と並んで注目されているのがフリースクールです。両者は似ているようで役割や目的が異なります。
オンライン塾は主に学習面のサポートを目的としており、学校の授業に準拠した内容や、受験対策、基礎学力の定着などに力を入れています。
一方で、フリースクールは学習だけでなく、お子さんが安心して過ごせる居場所づくりや、社会とのつながりの再構築を重視しているのが特徴です。
日々の過ごし方も異なり、フリースクールでは学習時間のほかに、対話や活動を通して自分の気持ちを表現したり、仲間と関わる機会を持ったりすることが大切にされています。
近年は、従来の対面型に加え、オンラインフリースクール「シンガク」など、オンラインで参加できるフリースクールも登場しています。
シンガクは、「学びたいけど学校には行けない」「安心できる居場所がほしい」というお子さんの声に応える形で生まれた、新しいスタイルのフリースクールです。オンライン上の教室では、学習指導はもちろん、雑談やイベント、少人数のグループ活動なども実施されており、家庭にいながらでも人とのつながりを感じられるよう工夫されています。
目的に応じた使い分けがおすすめ
どちらを選ぶべきかは、お子さんの今の気持ちや目標によって異なります。「まずは勉強を再開したい」「基礎を取り戻したい」という場合はオンライン塾が向いているでしょう。
一方で、「人と話すことから始めたい」「学校と距離を置きながら過ごす場所がほしい」という場合には、フリースクールが合うでしょう。
もちろん、オンライン塾とフリースクールを併用することも可能です。たとえば、午前中はシンガクで仲間と過ごし、午後はオンライン塾で学習に集中するなど、それぞれの強みを生かした使い方も増えています。
お子さんの状態や興味に合わせて、無理のない範囲で選んでいくことが大切です。
不登校の子におすすめのオンライン塾10選
トライのオンライン個別指導塾
全国に家庭教師や学習塾を展開する「トライ」が提供するオンライン個別指導サービスです。専任講師によるマンツーマン指導が特徴で、不登校のお子さんにも柔軟に対応しています。
対象学年:小学生~高校生
サポート内容:完全1対1の個別指導、担任制で継続的な学習フォロー、学習内容のカスタマイズ可能、自習サポートや進路相談にも対応
料金:月額約15,000円〜(学年・指導回数・内容により変動)
※上記の料金は最安値の目安で、個別見積もりとなる場合が多いです。
ティントル
「ティントル」は、不登校や発達に特性のあるお子さんを対象にしたオンライン個別指導塾です。勉強だけでなく、お子さんの心の状態や生活リズムに寄り添うサポートを行っています。
対象学年:小学生~高校生
サポート内容:完全1対1の個別指導、教科指導+生活支援・進路相談、担任講師との定期的な面談あり、保護者向けのサポート面談も実施
料金:1コマ30分1,100円(税込)〜(学年・講師・指導回数・内容により変動)
※上記の料金は最安値の目安で、個別見積もりとなる場合が多いです。
まなぶてらす
自宅で学べるオンライン個別指導サービスで、講師は全国から集まった多様な専門性を持つプロが担当し、教科学習だけでなく習いごとや自由研究のサポートも可能です。
対象学年:小学生~高校生
サポート内容:完全1対1の個別指導、教科指導、作文・読書感想文・自由研究にも対応、生活リズムや進路の相談も可能
料金:バリュープラン月額13,200円(税込)
※月額プランは全14コースがあり、不定期に受講できる単発ポイントプランもあります。
オンライン坪田塾
映画『ビリギャル』のモデルとしても有名な「坪田塾」が提供するオンライン指導。心理学を活用した指導スタイルが特徴で、やる気を引き出す声かけと伴走支援に定評があります。
対象学年:中学生~高校生(既卒生含む)
サポート内容:1対1または少人数個別指導、学習計画の作成と進捗フォロー、心理学ベースの声かけと目標設定
料金:1時間あたりの授業料の目安1,530〜2,736円
※1回2時間/週3回から通い放題の無制限まで、さまざまなプランがあります。
キミノスクール
不登校や学習に悩む中高生を対象に、完全オンラインで学びと対話の場を提供。学習支援とコミュニケーションの両面からお子さんをサポートします。
対象学年:中学生〜高校生
サポート内容:1対1の個別指導+オンラインコミュニティ、講師との定期面談、保護者相談や学習以外の面談も可能
料金:HPに記載なし。個別見積もりとなります。
クラスジャパン小中学園
オンラインでの学びと生活支援を提供する「オンラインの学校」。文部科学省の出席扱い制度を活用した取り組みも行っています。
対象学年:小学生・中学生
サポート内容:毎日のホームルーム・個別学習・相談支援、担任制による学習と生活面の伴走支援、学校と連携し出席扱いとなるケースあり
料金:月額27,500円(税込)、入会金11,000円(税込)
キズキ共育塾
不登校や中退などを経験したお子さん・若者を対象とした個別指導塾。再チャレンジを応援する丁寧な指導が特徴です。
対象学年:中学生〜既卒生
サポート内容:完全個別指導(週1〜)、カウンセリングとの併用も可能、不登校・発達障害・ひきこもりなど幅広く対応
料金:HPに記載なし。お問合わせください。
てすラボ24時間学習塾
24時間いつでも学べる環境を整えたオンライン学習塾。リアルタイム質問対応や講師による動画授業で、自分のペースで学習できます。
対象学年:小学生〜高校生
サポート内容:24時間対応の質問チャット、オンデマンド動画教材、Zoom個別指導(希望制)
料金:中学生スタンダードコース月額9,900円(税込)
※その他5コースあります。
オンライン学習塾 きみのまなび おてつだい
不登校・発達障害のあるお子さんに寄り添った、マンツーマンのオンライン塾。学習サポートだけでなく、心のケアや生活相談も行っています。
対象学年:小学生〜高校生
サポート内容:1対1の個別指導、教科学習・進路相談・メンタルサポート、保護者面談・家庭との連携あり
料金:月額19,800円(税別)
オンライン家庭教師WAM
小学生から高校生までを対象に、1対1の完全個別指導を提供しています。不登校の生徒にも対応しており、基礎からの学び直しや進学対策まで幅広くサポートしています。
対象学年:小学生~高校生
サポート内容:1対1の個別指導、双方向型の授業、学習計画の作成、進路相談
料金:月額4,900円(税込)~
※学年や授業時間(40分または90分)により料金が異なります。
不登校のお子さん向けオンライン塾を選ぶ際のポイント
オンライン塾は種類が豊富で、内容やサポート体制もさまざまです。
お子さんの状態やご家庭の希望に合った塾を選ぶために、以下のポイントをチェックしておくことが大切です。
サポートの手厚さ(学習だけでなく心のケアも)
不登校のお子さんにとって、ただ「勉強を教えてくれる」だけではなく、気持ちに寄り添ってくれるかどうかも非常に重要です。
「朝起きられない」「やる気が出ない」「人と話すのが不安」といった状態でも無理なく関われるよう、メンタル面や生活リズムに配慮したサポートがあるかを確認しましょう。
✓メンタルケアの専門スタッフがいるか
✓学習以外の相談にも応じてくれるか
✓保護者向けのサポート体制があるか
講師との相性・指導スタイル
オンライン指導では、画面越しであっても講師との信頼関係が学習のモチベーションに大きく影響します。
マンツーマンなのか、集団指導なのかも含めて、お子さんの性格や状態に合ったスタイルかどうかを見極めることが大切です。
✓お子さんと年齢が近い講師、経験豊富な講師など選べるか
✓同じ講師が継続的に担当してくれるか
✓子どもが「話しやすい」と感じられる雰囲気か
継続しやすい料金設定
毎月の出費になるため、無理のない料金設定かどうかも大事なポイントです。
高額なプランで途中で続かなくなってしまうよりも、必要なサポートに絞って始めるのも一つの方法です。
✓月額費用に加え、入会金や教材費があるか
✓支払いは月単位か、回数制か
✓必要に応じてコース変更ができるか
比較の際は、単純な料金の安さだけでなく、「内容に見合った価格かどうか」を意識して選びましょう。
無料体験の有無と内容
ほとんどのオンライン塾では無料体験授業を提供しています。申し込む前に、授業の雰囲気や講師との相性、操作のしやすさなどを確認できる貴重な機会です。
✓授業内容はどこまで体験できるか
✓複数の講師を試すことができるか
✓保護者も一緒に参加できるか
気になる!費用相場と他サービスとの比較
不登校のお子さんの学びを支えるための選択肢には、オンライン塾以外にも家庭教師やフリースクールなどがあります。
ここでは、オンライン塾の平均的な費用感を押さえた上で、他のサービスとの違いや、無料・自治体支援の活用例も見ていきましょう。
オンライン塾の平均的な月額・入会金
オンライン塾は、サービスやサポート内容によって価格帯に幅がありますが、以下のようなケースが多く見られます。
月額:1万円〜3万円程度
週1回の個別指導コースや動画視聴型の学習サービスでは1万円前後、週2回以上のマンツーマン指導では2万円以上が目安です。
入会金:5,000円〜2万円程度
多くの塾が初回のみ徴収しており、キャンペーンで無料になる場合もあります。
なお、「ポイント制」や「回数課金制」を導入している塾もあり、柔軟なスケジュールを組みたい家庭にはこちらも人気です。
フリースクール・家庭教師との費用比較
サービス種別 | 月額の目安 | 特徴 |
オンライン塾 | 約1万円〜3万円 | 自宅で完結。個別指導や心のケアも。 |
フリースクール | 約2万円〜5万円以上 | 学習+「居場所」的な機能も。対面が多いが、オンライン対応も増加中。 |
家庭教師(訪問型) | 約2万円〜5万円以上 | 自宅訪問。指導力の高さと引き換えに費用が高め。交通費も必要な場合あり。 |
費用だけを見ると、オンライン塾は比較的導入しやすい価格帯と言えるでしょう。また、時間の融通が利きやすく、外出に不安があるお子さんにも向いています。
無料や自治体サポートがあるケースも紹介
一部のオンライン塾やフリースクールでは、下記のような費用支援制度や無料利用枠があります。
無料体験授業
多くのオンライン塾で1回~複数回の体験授業が受けられます。
自治体による補助制度
一部の市区町村では、不登校のお子さんのための教育支援として「民間フリースクール通学費の補助」や「教育相談支援費」が設けられている例もあります。
NPOや団体の無償学習支援
経済的に困難な家庭向けに、無料で学習を支援するプログラムを実施している団体もあります。
実際の保護者・生徒の口コミまとめ
実際にオンライン塾を利用した保護者やお子さんのリアルな意見を紹介します。
良い口コミ:気持ちが安定した、勉強の習慣が戻ったなど
中1男子の保護者(トライのオンライン個別指導塾)
「学校に行けず自信を失っていた息子が、先生とのやりとりを通じて少しずつ笑顔を見せるように。勉強の習慣も戻ってきました」
小6女子の保護者(まなぶてらす)
「本人の得意・苦手に合わせて指導してもらえるので、無理なく続けられています。講師の先生が子どもに寄り添ってくれるのが本当にありがたいです」
高1男子(キズキ共育塾)
「最初は緊張していましたが、回数を重ねるごとにリラックスして話せるように。今は受験を目指して前向きに取り組めています」
悪い口コミ:費用が高い、講師が合わなかったなど
小5男子の保護者(某オンライン塾)
「内容は良かったのですが、講師が数回で変わってしまい、子どもが慣れる前に交代に…。一貫性があるともっと良かったです」
中3男子の保護者(オンライン坪田塾)
「質の高い指導だとは思うのですが、月額が高く、続けていくのが経済的に少し厳しいと感じました」
中1女子(ティントル)
「先生との相性が合わなくて途中で塾を変えました。体験授業でしっかり見極めるのが大事だと思いました」
よくある質問(FAQ)
Q. 不登校でもオンライン塾に通えば出席扱いになりますか?
A. オンライン塾単体では基本的に出席扱いにはなりません。しかし、一部のフリースクールや、教育委員会が認可する施設と連携している塾では、出席扱いになるケースもあります。詳細は、学校や自治体に相談するのがおすすめです。
Q. 不登校の子どもは日中でも塾に通えますか?
A. はい、多くのオンライン塾では日中の時間帯にも授業を受けられます。むしろ、登校できないお子さんにとっては「夕方や夜よりも、午前中や午後早い時間の方が集中しやすい」といった声も多くあります。自由にスケジュールが組めるオンライン塾は、生活リズムを整えるきっかけにもなります。
Q. 通信制高校と併用できますか?
A. 可能です。通信制高校と併用して学習のサポートを強化する目的でオンライン塾を活用するケースは増えています。特に、高校卒業資格の取得に必要なレポート提出や進路指導を、塾側がサポートしてくれる場合もあるため、組み合わせて利用するのがおすすめです。
Q. 発達障害がある場合でも利用できますか?
A. 多くのオンライン塾では、発達障害やグレーゾーンのお子さんにも対応した指導が可能です。例えば、キズキ共育塾やティントルなどは、発達特性に配慮した講師の配置や、学習の工夫を行っていることで知られています。
まとめ:お子さんに合ったオンライン塾をじっくり選ぼう
不登校のお子さんにとって、学びを無理に「学校」に戻す必要はありません。
今は自宅にいながら、安心して学習できるオンライン塾という選択肢があります。勉強の遅れを取り戻すだけでなく、自己肯定感や「やってみよう」という気持ちを育てるサポートが充実している塾も増えています。
とはいえ、すべてのオンライン塾がどのお子さんにも合うとは限りません。サポート内容や講師との相性、料金や時間帯の柔軟さなど、家庭やお子さんの状況に合わせた選び方が大切です。
まずは比較・検討を重ねた上で、気になるサービスの「無料体験」から始めてみるのがおすすめです。実際に体験してみることで、画面越しの学習に対する不安が減り、続けやすさや相性を判断しやすくなります。
お子さんが「ここなら安心して取り組める」と感じられる学びの場を、一緒に見つけていきましょう。焦らず、少しずつ。家庭という安心できる場所から始める学びが、未来につながる第一歩になるかもしれません。
更新日:2025/4/16