不登校は就職に影響する?不登校経験を就職に活かすための考え方を解説

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目次

不登校の方や、不登校のお子さんを持つ保護者の方は、将来や進路について不安を抱えることも多いのではないでしょうか。

特に、就職を検討されている場合「不登校だと就職に影響が出るのではないか」という懸念を感じているかもしれません。

しかし、不登校でも就職することは可能です。極端に将来が閉ざされるということはありませんので、その点はご安心ください。

この記事では、不登校から就職するためのポイントや、不登校経験のある人におすすめの仕事について解説していきます。

不登校から大学進学を目指している方はこちらの記事をご覧ください。

不登校でも大学受験はできる?入学資格、受験勉強のポイント、保護者ができることを解説!

不登校は就職に影響する?

内閣府が行った調査内の「(1)不登校経験と現在の職業・生活への充実感の関係」によると、15-19歳の年齢における不登校経験者は、大学などへの在籍する割合が減り、正規職員へ就職する人の割合が増えるとなっています。

また20-24歳のグループでは、不登校なし・不登校ありそれぞれで正規職員の割合に大きく差はありませんでした。

不登校の理由や原因は、お子さん・家庭の数だけ存在しますので、このデータを持って「不登校でも就職できる」と言い切るのは安直かもしれませんが、就職に対する極端な不安を持つ必要はないとはいえるでしょう。

■20-24歳

不登校なし:31.6%

不登校あり:28.7%

一方で、20代後半のグループでは、不登校ありと回答した人は正規職員の割合が減り、パート・アルバイトや無業者の割合が10%以上増えるという結果でした。

(*出典1)内閣府|子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)

不登校でも就職できる?挫折を乗り越えた経験として評価されることも

不登校の経験が、就職活動における選考結果に直接影響することはありません。

企業が採用活動で大切にするのは「入社意欲の高さ」や「入社後に成果を上げられそうか」「入社後に円滑に周囲とコミュニケーションを取れるか」といった点です。

帝国データバンクの調査でも企業が求める人材像として、 「コミュニケーション能力が高い」がトップの結果です。

多くの企業で重視されるコミュニケーション能力も、不登校経験があるからといって、低いと見なされるものではありません。

不登校を経験したからこそ得られた「自分の強み」や「仕事への熱意」をアピールできれば、人事担当者に好印象を与えられるでしょう。

(*出典2)帝国データバンク|企業が求める人物像

不登校経験があっても就職は可能

前述のように、不登校経験があっても就職は可能です。

その理由は、人事担当者は不登校経験の有無よりも、人間性や価値観、どのような経験をしてきたのかを見ているからです。

したがって、しっかりと自分の強みや過去の経験について理解し、それを適切に表現できるように練習しておくことが大切になるでしょう。

不登校を乗り越えた経験が評価されることも

不登校の経験は、伝え方次第でプラスに働くこともあります。

特に、不登校を乗り越えた経験は「困難を乗り越えた経験」として高く評価されることもあるでしょう。

不登校の経験をネガティブに捉えるのではなく、自分と真剣に向き合った経験と捉えられれば、就職活動でも自身のアピールに繋げられるはずです。

また不登校経験があるからこそ、他人の気持ちを想像できるなどといった思いやりの力を身に付けている人もいるかもしれません。

面接などで不登校経験について聞かれた場合は「不登校を経験したからこそ、自分と向き合う時間を作れた」のように、ポジティブな内容に変換して伝えるようにしましょう。

不登校の人が就職を目指す際に気を付けたい5つのポイント

不登校の人が就職を目指す際には、注意しておくべき点もいくつかあります。

なぜなら、不登校により、就職で重要になる資格や経験が不足してしまう場合があるからです。

不登校から就職を目指す際には、以下のポイントを確認してみてください。

最終学歴が募集条件を満たしているかを確認する

応募条件が「高校卒業以上」となっている求人は少なくありません。

そのため、不登校によって高校を卒業できなかった場合、応募できる求人は限られてくる可能性があります。

応募する企業を探す際は、応募条件をしっかりと確認するようにしましょう。

不登校になった理由について説明できるようにしておく

不登校の経験があり、それが面接官に伝わっている場合、不登校になった理由について質問されることがあります。

突然聞かれても答えられるように、聞かれる可能性のある質問については、事前に回答内容を考えておくとよいでしょう。

不登校の理由を説明する際は、他人や環境に責任を押し付けるだけではなく、その経験からの学びを強調することが大切です。

たとえば、以下のように伝え方を工夫すると、面接官への印象はよくなるでしょう。


【伝え方の一例】

当時の自分は適応力が足りず、うまく周りになじめなかったため、不登校になってしまいました。しかし、不登校期間には地域のボランティアに積極的に参加したことで、周囲とのコミュニケーションに自信を持てるようになりました。


自分の過去を受け入れ、それを成長の機会と考える姿勢は、面接官にも評価されます。自分の過去の経験をしっかりと振り返り、自分がどう考え、行動し、何を得られたのかを考えてみましょう。

チャレンジ精神をアピールする

就職活動では「新しいことにも積極的に取り組んでいきたい」という、ポジティブな姿勢をアピールしていきましょう。

不登校の経験があったとしても、面接官が「入社後に活躍してくれそうだ」と判断すれば、採用に繋がります。

フリースクールなどに入り、様々な活動経験がある場合、それをアピールしましょう。フリースクールでは、普通の学校に在籍していてはできない経験ができることもあります。

そういった点を見つけてアピールすることで、周囲と差を付けることができるかもしれませんよ。

コミュニケーション能力を身につけておく

不登校になると、周囲とのコミュニケーション機会が少なくなることがあります。

それによって、他者への共感性やコミュニケーション能力が落ちてしまうこともあります。

文部科学省の「不登校に関する実態調査」では、高校生の不登校経験者の半数以上が対人コミュニケーションについて不安を覚えると回答しています。

よって、不登校状態が解消しても、コミュニケーションに不安が残るという人もいるでしょう。

また、不登校の経験を話した場合、面接官からも「職場でうまくコミュニケーションを取れるか」という懸念を持たれるかもしれません。

したがって、面接では、明るくはっきりと話すことで「コミュニケーション能力に問題がない」ことをアピールすることが大切です。

面接練習を、家族や友人に付き合ってもらって練習したり、動画を撮影して見直してみるなど、自分の表情や声色を客観的に確認して対策するのがおすすめです。

(*出典3)文部科学省|不登校に関する実態調査

生活習慣を見直す

不登校の間に、自宅で過ごす生活が続いていると、生活リズムが乱れてしまう場合があります。

文部科学省が行った「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」でも、学校に行きづらくなる理由の答えとして、小・中学生ともに生活リズムの乱れが25%以上と上位の理由となっています。

(*出典4)文部科学省|令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要

昼夜逆転してしまっている場合、昼間に活動するのが難しくなり、就職にも影響が出てくるでしょう。

そのため、不登校から就職を目指す際は、まずは生活習慣を見直すことが大切です。早寝早起きや栄養バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、生活リズムを整えましょう。

生活リズムの乱れが深刻な場合は、睡眠外来を受診するなど専門機関の利用も検討しましょう。

選択肢を広げるために高卒資格取得を目指すのもおすすめ

義務教育は中学校までなので、最終学歴が中卒でも就職は十分可能です。

しかし、求人の応募条件が「高卒以上」となっている企業が多いのも事実です。

したがって、より選択肢を広げるために、高卒資格取得を目指すのもおすすめです。

ここからは、高校で不登校になった人におすすめの高卒資格(大学受験資格)取得方法についてご紹介します。

通信制高校

1つ目の方法は「通信制高校」です。

通信制高校では、教科書や参考書、動画授業などを用いて勉強していきます。基本的に自宅にいながら学習できるため、不登校経験のある方でも無理なく学習を進められるでしょう。

ただし、月に数回程度は「スクーリング」と呼ばれる登校日があり、その時は学校に登校しなければなりません。

また、自宅学習が中心になるため、自己管理能力が求められます。1人で学習を進めるのが苦手な場合は、塾や家庭教師などを利用するのもおすすめです。

定時制高校

2つ目の方法は「定時制高校」です。

定時制高校は、夜間など決まった時間に授業を行う学校です。

自分の通いやすい時間帯に学校に通えるため、不登校だった人でも通いやすいでしょう。

ただし、全日制高校と比べると授業時間が短いため、学校やコースによっては、卒業までに4年必要な場合もあります。

高等学校卒業程度認定試験

3つ目の方法は「高等学校卒業程度認定試験(以下、高卒認定試験)」です。

高等学校卒業程度認定試験に合格すれば、高校卒業と同等の学力があると認められ、大学受験資格を得られます。また、専門学校や公務員試験、一部の資格試験の受験や民間企業の就職活動にも活用できます。

学校に通う必要がないため、何らかの理由で高校に通うのが難しい人におすすめです。

注意点としては、自分で学習計画を立てて、勉強していく必要があるという点です。周囲からのサポートが比較的少ないため、自己管理能力が重要になるでしょう。

高卒認定試験の対策をしてくれる塾などもあるため、1人での学習が難しい場合には、塾などを利用するとよいでしょう。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

不登校でも大学受験はできる?入学資格、受験勉強のポイント、保護者ができることを解説!

【まとめ】

今回は不登校から就職するためのポイントや、不登校経験のある人におすすめの仕事について詳しく解説しました。

不登校経験のある人が就職活動を進める際には、不登校だった過去をネガティブに捉えるのではなく、不登校を経験したからこそ得られたものをアピールするとよいでしょう。

大切なのは、過去の苦労や困難の経験をどう将来に活かしていくかです。

しっかりと自己理解をした上で、自分に合った進路や就職先を探してみてください。

【出典一覧】

*1 内閣府|子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)
参考箇所:不登校は就職に影響する?

*2 帝国データバンク|企業が求める人物像
参考箇所:不登校でも就職できる?挫折を乗り越えた経験として評価されることも

*3 文部科学省|不登校に関する実態調査
参考箇所:コミュニケーション能力を身に付けておく

*4 文部科学省|令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
参考箇所:生活習慣を見直す

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